KUKAジャパン、お台場のテクニカルセンターを初公開

~ドイツ航空宇宙センターと共同開発の次世代ロボットも


 KUKAロボティクスジャパン株式会社は11月25日、開幕した国際ロボット展にあわせて記者会見を開催、5月に開設したテクニカルセンターを公開した。またドイツのKUKA Roboter本社より、CEOに就任したばかりのマンフレッド・グンデル(Manfred Gundel)氏が来日、今後の展望について語った。

KUKAロボティクスジャパンの安藤晃二代表取締役社長(左)とドイツKUKA Roboterのマンフレッド・グンデルCEO(右)。手前は最新の「Light Weight Robot」(LWR)KUKAロボティクスジャパンのテクニカルセンターがある台場ガーデンシティビル(東京都港区台場)。日本本社に併設されている

 KUKAロボティクスジャパンは、ドイツの産業用ロボットメーカーKUKA Roboterの100%子会社として、2007年7月に設立。産業用ロボットにおける世界最大の市場であり、供給国でもある日本において、販売活動を行なってきた(日本市場における販売実績については非公表)。

 当初は「なんでもかんでも」(KUKAロボティクスジャパンの安藤晃二代表取締役社長)という多方面展開だったが、強力なサプライヤーが存在する日本市場に食い込むのは難しく、経営リソースを集中。同社が技術力、価格競争力において強みを発揮できる、高精度ロボット、重可搬ロボット、医療ロボットなどに注力して、市場開拓を目指している。

高精度ロボットの「KR60HA」重可搬ロボット「KR1000 Titan」医療用ロボットはすでに導入済み
CAMデータからプログラムを自動生成エンターテイメント向けの“ロボコースター”もオムニホイールを装備した搬送ロボット

 テクニカルセンターは、今年5月に、技術サポートを強化するために開設された。ロボットに関する各種トレーニングコースが用意されており、すでにシステムインテグレータ数社により利用されているそうだ。

テクニカルセンターで実施されるトレーニングコースそのほか、デモンストレーションやセミナーにも使われる

 世界的な不況に見舞われた2009年は、KUKAにとっても「今まで見たことがない状況」(グンデルCEO)だったという。しかし、市場全体の売り上げが減少するなかで、同社はシェアを拡大できた。それはなぜか。グンデルCEOは理由として、以下の3点をあげた。

 1つ目は、技術的なイノベーションを生み出し続けること。これにより、新しい市場に一番乗りを果たすことができる。2つ目は、今までロボットを使ったことがない新規市場も狙うこと。先行すれば、魅力的なニッチ市場を独占できる。そして最後は、大きなトレンドにフォーカスすること。これは、自動化の拡大、持続可能性、少子高齢化などだ。

同社のイノベーションの数々これからのトレンドに注目

 今まで、産業用ロボットはいくつかのタスクを何千回も繰り返すように作られてきたが、これからは、何千種類ものタスクを数回繰り返すようになる、とグンデルCEO。また、人間のような汎用性が求められており、そのためには、よりセンシティブになる必要があるという。

 センシティブなロボットとして開発されたのが、7軸多関節ロボットの「Light Weight Robot」(LWR)である。ドイツ航空宇宙センター(DLR)と共同開発したもので、従来のようなモーター電流量とポジションセンサーによる位置制御ではなく、センサーベースの高度なコンプライアンス制御(7軸全てにトルクセンサーが内蔵されている)を実現した。

 まだ研究段階のもので、価格や発売時期は未定。日本での公開は今回が初めてだが、国際ロボット展の会期中、同社テクニカルセンターにおいてオープンハウスが開催されており、LWRも公開される。26日(木)~27日(金)の両日とも、開催時間は10:00~19:00。この後、LWRはドイツに戻されるということなので、興味があれば、ぜひ足を運んでみよう。


(大塚 実)

2009/11/26 14:11