日産、ぶつからないロボットカー「エポロ」を「CEATEC JAPAN 2009」で展示

~障害物を回避しながら群走行


日産ロボットカー「エポロ(EPORO)」

 日産自動車株式会社は、ぶつからないロボットカー「エポロ(EPORO)」を開発した。10月6日より開催される「CEATEC JAPAN 2009」にて公開する。

 昨年のCEATECで公開された「BR23C」はハチの行動解析を応用した衝突回避ロボットカーとして発表されたが、今回のロボットカーは、魚群のルールで群走行するロボットカーとして開発されたもの。

 「BR23C」ではあくまでロボット単体で障害物を回避する技術開発であったが、今回は集団としてロボットが「群走行」しながらお互いにぶつからず、障害物も回避しながら移動する技術を開発した。ロボット同士は互いの位置や車両情報を双方向通信で把握しながら行動する。ロボットのアルゴリズムには魚群での魚の行動パターンを3つのルールに分け、走行制御に応用したという。

3つのエリアに分割した魚の行動パターン群れを維持しながら障害物を回避して行動する

 1匹の魚を中心として、3段階の距離に応じてルールを解析した。最も魚に近いエリア1は「衝突回避」エリアとされ、魚は互いにぶつからないよう進行方向を変える行動をする。次の中距離に相当するエリア2「並走」エリアでは、魚は仲間の魚と距離を一定に保つため、並走(速度を合わせる)しようとする。さらにその外側となるエリア3の「接近」エリアでは、魚がほかの魚との距離が空きすぎていることを認識し、仲間の魚に近づこうとするという。

 一般的に魚は「側線感覚」と「視覚」によって周囲の環境を認識しているとされ、エポロでは「側線感覚」をレーザーレンジファインダー、「視覚」はUWB通信を使い、発信したパルス信号が反射するまでの時間差から対象物の距離と位置を測定することで実現した。

 今回の開発責任者である、同社総合研究所モビリティ研究室主任研究員の安藤敏之氏はリリース中で、「魚群の行動は、一匹ごとの自由度や群の中での安全性、群全体の高い移動効率という点で、クルマ社会として学ぶところが大変多い。エポロでは、最新のエレクトロニクス技術を駆使して魚群の行動を再現した。周囲の環境情報は通信を使って群で共有され、柔軟に動きを変えながら安全に走行ができる」と語っている。

 同社は安全技術コンセプト「セーフティ・シールド」を提唱しており、今回の技術は、クルマの移動効率の向上、渋滞のない環境にやさしいクルマ社会へ貢献することも目指すという。

 なお、同社では7日に「電気自動車とカーロボティクスが拓くクルマの未来」と題した基調講演を11:00より同社常務執行役員の篠原稔氏が行なうほか、同じく7日の14:00からは、「EVが切り拓く『オール電化・オールモバイル』社会」をテーマとした、各分野のリーダー企業、自治体とのパネルディスカッションも実施する。



(清宮信志)

2009/10/1 15:56