ネットラジオ番組「のもぴ~プラスティックラジオ」第3回公開録音レポート

~ガンダム好きアイドルやセガゲームプロデューサーらもゲストで登場


左からたかみゆきひさ氏、能登有沙さん、野本憲一氏

 9月13日に、新宿歌舞伎町にあるイベントスペース「ロフトプラスワン」にて、インターネットラジオ番組「のもぴ~プラスティックラジオ・モデリングライブ ~好きな物を好きに作る!~」の第3回目公開録音イベントが開催された。

 出演者は、本誌でも活躍中のプロモデラー「のもぴ~」こと野本憲一氏、たかみゆきひさ氏、ハロプロエッグ所属のガンダム大好きアイドル・能登有沙(のっち)さんの3名。その模様をお伝えする。

「のもぴ~」「ノモケン」の愛称で多くのファンに親しまれている、プロモデラーの野本憲一氏。本誌でも記事執筆中司会進行のたかみゆきひさ氏。プロのモデラーとしてだけでなく、映像制作やMCなど広く活躍中ハロプロエッグ所属のアイドル・能登有沙さん。愛称は「のっち」。2人の師匠の下で修行中

 同番組は、動画配信サイト「Dohhh UP! HOBBY」で放送中。内容は、野本氏とたかみ氏が、能登さんにプラモデルの作り方をわかりやすく教えるハウツー&バラエティー番組だ。8月25日に発売になった模型雑誌「ホビージャパン 10月号」とも連動しており、雑誌での連載もスタートしている。

 公開収録の会場は、日曜日の正午だったにもかかわらず、多くのファンが駆けつけた。イベントは実にアットホームな作りになっていて、番組出演者もお客さんも、飲食をしながら番組が進行するという具合。いい意味で「ゆるくてまったり」としたラジオ収録イベントだ。13時になると、メインパーソナリティーの3名が登場し、満員のお客さんは拍手で迎えた。すでに飲食を楽しんでいる観客も多く、野本氏は「いや~、会場内はすでにカレーの臭いがしてますね」と挨拶。それに続けて能登さんは「……カレー臭(加齢臭)」と観客をあおると、会場からは「えぇぇっ~!」「ひどい!」と、大爆笑が沸き起こった。さすが、お客さんいじりの上手いアイドル・能登さんである。

会場はイベント開始前から満員。持参した作品をステージ前に並べる人もちらほらパーソナリティーの3人がステージに上がると、会場からは大きな拍手がイベント開始前はお客さんとのふれあいコーナー。会場を温めていた

 また、能登さんは今日の収録までにガンダムSEEDの「デュエルガンダム」(主人公キラ・ヤマトの属する地球連合軍に敵対するザフト軍に奪取されたガンダムの1台)を完成させるつもりだったが、完成させてこなかったことを会場のお客さんたちに報告。「昨晩は仕事で疲れて寝ちゃった。右脚はできたんだけど、左脚がまだなんだよね」と言い訳をするも、会場からは「やっぱり作って来なかった!」との声が。こんなお客さんとのほのぼのとしたコール&レスポンスも当番組の魅力だ。会場がヒートアップしたところで、出演者・お客さん全員で番組スタートを祝う乾杯を行ない、そのまま番組収録が始まった。

お客さんが持ってきた作品を興味深くチェックする3人能登さんの「乾杯!」の合図と共にイベントが始まった。たかみ氏と野本氏は恒例のビール会場には、ファンの作品も展示されていた。中にはカスタムされたニンテンドー DSや携帯電話なども

現役女子高生声優・三澤紗千香さんの「お台場ガンダムレポート」

 番組が始まり、今日の1人目のゲストとして、高校2年生の新人声優の三澤紗千香さんが登場。当日は三澤さんのファンも多く、大きな拍手で迎えられた。三澤さんは自己紹介で「好きなマイスター(「機動戦士ガンダム00」の主人公刹那・F・セイエイら4人の主役ガンダムパイロットたちをこう呼ぶ)はティエリア・アーデです! 見てください、今日着けているシュシュはティエリアを意識して紫なんです」と語ると、すかさず能登さんが「ティエリアのどこが好きなの?」と質問。すると三澤さんは「マジメで“任務遂行”ってところが好き」と照れながら返答していた。

現役高校生声優の三澤紗千香さん。恥ずかしがりながら登場するのが印象的でしたティエリアの話になると熱く語り出す三澤さん。本当に好きらしい課題が終わってないので内職を始める能登さんと、それを心配そうに見つめる野本氏、三澤さん

 4名が揃ったところで、1つ目のコーナー「お台場ガンダムレポート」が始まった。これは、お台場に設置されていた原寸大ガンダムを見学してきた時のレポート。野本氏とたかみ氏、三澤さんの3名が見学に行き、スクリーンには、その時に撮影された写真が写し出されていた。

 野本氏とたかみ氏は写真を見ながらトークをしていたが、さすがプロモデラーだけあって、一般人の見方とは異なる。例えば「ガンダムの横に建ててあるプレハブ小屋もかっこよくしてほしい(写真に写るため)」、「ガンダムのポーズ付けがおかしい。右手がやや上がってるのが気になる」などなど、実に細かい部分を指摘。しかし、たかみ氏が「あれ? のもぴ~はガンダムを見に来たのにボトムズのTシャツ?」と写真に写る野本氏のTシャツに気付くと、会場からは大爆笑。能登さんからも「そこは空気を読まないと……」と笑われていた。

 見学をした感想について三澤さんは、「野本さんとたかみさんが、子供みたいにすぐにどっか行っちゃって……」と困り顔。「スキップしてるような、背中がすごく喜んでました」と、当日の2人の様子を報告した。

能登さんはいまだ内職中だが、番組のコーナーは進む……お台場に原寸大ゾック出現! 実はこれ、野本氏が持って来た模型。「お台場は水辺なので」とコメントし、会場は大爆笑3人で記念撮影。次の仕事が入っていたため、たった30分しかいられなかったそうだ

 続いては、番組のサブタイトルにもなっている「好きな物を好きに作る」のコーナー。三澤さんは、大好きな「ガンダムヴァーチェ」(ガンダム00の1stシーズンで、前出のティエリアが乗るガンダム)のプラモデルを作ってきた。ヴァーチェが好きなところは攻撃方法だという(重武装タイプで、分厚い装甲と強大な破壊力が特徴)。

 三澤さんがヴァーチェについてあまりにも熱く語るので、能登さんから「沙千香ちゃん大丈夫?(笑)」と心配される一面も。その作業中の様子は会場のスクリーンに写された。三澤さんは、「1体作るのに6時間かかったけど、ずっとヴァーチェを触っていられた」と、終始ニコニコしながら当時の様子を振り返っていた。

なによりも「ガンダムヴァーチェ」が大好きだという三澤さん楽屋ではプロモデラーの2人からプラモ制作についてアドバイスをもらったそうだスクリーンに映っているヴァーチェは、どちらも三澤さんのもの

たかみ氏の「好きな物」は「ガンダムエクシア」

 続いて、たかみ氏が作ってきた「好きな物」が紹介された。選択したのは「ガンダムエクシア」(ガンダム00の1stシーズンで、主人公の刹那が乗った主役の中の主役ガンダム)。基本は素組みだが、手にこだわったと解説。指を1本ずつ切り離し、独立して稼動するように改造したという。モニターに映像を映すと、その細かい改造に会場からは「おお~っ!」と歓声が上がった。改造には薄刃ニッパーを使ったそうだ。

 その他、たかみ氏は機体色について「エクシアの作例ではくすんだ青が使われることが多いが、僕は鮮やかな青が好き。成型色の上にガイヤカラーのガンメタを薄吹き、その上からガイヤカラーの蛍光ブルーのクリアーを吹いた」と紹介。この説明を聞いて、能登さんは「いまの話を全部わかった人います?」と、首をかしげていたが、会場に集まったプラモデルファンは、かなりの人数が手を挙げていた。

プロモデラーがこだわりポイントを語るたかみ氏たかみ氏の愛機「ガンダムエクシア」。今日のためにデカールを貼ってきたよく見るとすべての指が独立して動くように改造されている

香港のイベントに招待された「魅惑の香港レポート」

 「魅惑の香港レポート」コーナーでは、8月1日~3日に野本氏とたかみ氏、能登さんの3名で香港に行ってきたときの様子が、写真とトークで紹介された。この時期の香港では、「香港動漫電玩節2009」というイベントが開催されており、和訳すると「アニメ&ゲームエキスポ」といった具合。9月10日に創刊された「ホビージャパン香港版(中文版)」をアピールするために、「香港動漫電玩節2009」の会場内のバンダイステージトークショーを行なってきたとのことだ。

 撮影してきた写真を見ながら、当時のことを思い出す3人。日本で開催されるこの種のイベントは夕方の5~6時ごろに閉館するが、香港では夜の9時まで開場しているそうだ。夕方になっても入場待ちをする来場者の列は途絶えず、数百メートル先の最寄り駅まで続いていたという。スクリーンには、たかみ氏が持参したPCの画面が映し出され、香港でも大人気のホビージャパンとバンダイブースや、香港のアニメファンが日本のアニソンを熱唱するカラオケコンテスト、コスプレをする一般客などの写真が披露された。

 そして、渡航時のハプニングエピソードとして、能登さんが現地のガチャガチャでコインを詰まらせた話を紹介した。能登さんは、「2香港ドルって書いてあるから2ドルコインを入れたら壊れちゃった。すいませんって謝ってきました。本当は1ドルを2枚入れないといけなかったんです。みなさんも香港に行ったら気をつけてくださいね!」と、タメになる話を紹介してくれた(笑)。

「香港動漫電玩節2009」の写真が次々とスクリーンに投影された。現地では香港の新聞社に取材されたそうだホビージャパンのブース。会場の雰囲気は日本国内で開催されるイベントと似ていたこれが問題のガチャガチャ現場

能登さんの「好きな物」は「デュエルガンダム アサルトシュラウド」

 続いてのコーナーは、能登さんの「好きな物を好きに作る」コーナー。能登さんは「お2人にかなうわけがないので……得意技のボンドで!」と謙虚なコメント。彼女が大好きだという「デュエルガンダム アサルトシュラウド」(ガンダムSEEDのデュエルガンダムに追加装甲を施して性能を強化したガンダム)の機体に、ラインストーンを装飾したガンダムを披露した。腕や脚には大きめのラインストーンを貼り付け、胸には粉状のビーズが敷き詰めてある。

 その他に、頭部の後ろにはピンク色の麦藁帽子、左肩の上にはガラス製のパンダのフィギュアが乗っていた。作業にかかった時間は、デュエルガンダムの制作に2時間、その他の装飾に4日間。ただし、装飾作業は仕事の後に行なっていたため、正確な時間は計っていないとのこと。能登さんらしい、キュートな「デュエルガンダム」だった。

能登さんが選んだプラモデルは「デュエルガンダム」。ヨド○シカメラで買ったらしいこだわった点を説明している内に、つい熱くなって立ち上がる能登さん能登さんは「ラインストーン」のことを「ビーズ」と呼んでしまうクセがあるそうだ。野本氏曰く、「能登くんは昭和の匂いがする」

ゲストの酒井プロデューサーは元原型師だった

 2人目のゲストは、セガから12月3日に発売予定の携帯ゲーム機PSP用ゲーム「ファンタシースターポータブル2」のプロデューサー・酒井智史氏。酒井氏は小学生のころからのプラモデルファン。以前、たかみ氏と打ち合わせをしたとき、偶然プラモデルの話題で盛り上がり、そのとき以来交流があるそうだ。酒井氏はゲームのプロデューサーになる以前は、美術大学に通いながらWAVEで模型の説明書イラストを描く仕事をしていた。その流れで怪獣の原型も手がけたこともある。会場には、酒井氏が作った小さな怪獣の模型が展示されていた。

 トークショーでは、野本氏とたかみ氏、酒井氏による熱い模型トークが展開。酒井氏が原型を作成する際は、ファンド(紙粘土)を使ったそうだ。トーク中には「ファンド」とか「スカルピー」(焼いて固める粘土のような素材)といった専門用語が飛び交い、能登さんは話について行くのがやっとの模様。酒井氏は、プラモデルライフについて話を振られると、「最近モデリングが再熱して、2年くらい前から会社の昼休みを使って作ってます。会社なので接着剤を使わずに作れるマスターグレードはいいですね(シンナー臭がしないため)」と語った。

 この他にも、セガの入社試験に自作した「メカキングギドラ」を持って行った話や、そのときの面接官が「龍が如く」プロデューサーの名越氏だったこと、セガを受ける前に東宝を受けたら落ちた話など、プラモデル以外の話題でも大いに盛り上がっていた。

セガのプロデューサー・酒井氏。12月3日発売に向けて、PSP用ゲーム「ファンタシースターポータブル2」を制作中元原型師ということもあって、話題はとてもディープ酒井氏が作った怪獣の模型。とてもゲームプロデューサーの技とは思えない

野本氏が作った好きな物は横山宏氏デザインの戦闘機

 番組のご意見番である野本氏が、この日のために作ってきた「好きな物」は、かれこれ数十年に渡って日本だけでなく海外でも評価されているベテランイラストレーター/デザイナーの横山宏氏がデザインした架空の戦闘機「FALKE」(ファルケ)。これは、モデルグラフィック誌で連載中の「Ma.K.」という企画に登場するメカだ。「Ma.K.」は20年以上前から連載している人気ページで(かつてはホビージャパン誌で「S.F.3.D」という題名で連載していた作品)、当時高校生だった野本氏は、いつかは作りたいと思っていたそうだ。

 会場のスクリーンには、作成の課程を撮影した写真がスライド形式で映し出された。「FALKE」は架空の戦闘機だが、実在する戦闘機のようにカモフラージュ塗装を施したり、リベットを打ち込んだりして完成度を高めている。スライドをめくりながら、少しずつ親切丁寧に作業工程を説明する野本氏。師匠からのありがたい言葉に、能登さんや会場に集まった模型ファンは耳を傾けていた。

これがハセガワから発売されているプラモデル「FALKE」エンジンのパーツは「ヤクルト」の容器と同じ形。なので、展示した「FALKE」の下には3本の「ヤクルト」リベットをはっきりさせるために使った工具。約9,000円する工具で、太さは0.5mm単位

イベントの最後は投稿作品の評価とプレゼントコーナー

 公開録音の最後は、再び2人のゲストがステージに上がり、聴視者や会場のお客さんが持参したプラモデルを紹介するコーナー。アイドルをネタにした自動車やロボットなどが多く投稿されていた。作った作品をプロのモデラーに評価してもらえるなんて、模型ファンとしては光栄なこと。番組終了後に来場者と話をしたら、これを励みに模型制作を続けているファンもいた。

 そして、収録後はスポンサー各社から提供されたプレゼントの抽選大会。ゲストのサインや野本氏の著書、プラモデルなど、かなりの数のプレゼントが配られた。おそらく、来場者の大多数はなにかしら当選したはず。プラモデルに興味があって作ってみたい! そんな読者は次回の公開録音に出かけてみてはいかがだろうか。おいしいご飯とお酒を飲みながら楽しいトークを聞ける、とっても珍しいイベントだ。

投稿作品に添えられたコメントを読み、パーソナリティーが感想を述べるイベントは最後まで大盛り上がり。ゲストの2人も楽しんでいたキレイにデカールが貼られた「痛車」たち


(佐藤隆博)

2009/9/17 00:00