サンリツオートメーション杯「第9回レスキューロボットコンテスト」レポート【後編】
~技術を学び、人と語らい、災害に強い世の中をつくる
第9回レスキューロボットコンテスト |
2009年8月8日(土)、9日(日)に、神戸サンボーホールにおいて、サンリツオートメイション杯「第9回レスキューロボットコンテスト」が開催された。本稿では、2日目のセカンドミッションとファイナルミッションについてレポートする。
●セカンドミッションの活動報告
セカンドミッションには、ファーストミッションの確定ポイント5~10位のチームが出場した。セカンドミッションでは競技時間が8分に短縮される。この競技の上位2チームが、ファイナルミッションへ駒を進めることができる。
【出場チーム】※セカンドミッション出走順チーム名 | 団体名 |
---|---|
なだよりあいをこめて | 神戸市立科学技術高校 科学技術研究会 |
がんばろう KOBE | 神戸市立高専 |
T.R.R.L | 津山高専電子制御工学科 |
SHIRASAGI | 兵庫県立大学ロボット研究会 |
メヒャ! | 岡山県立大学ロボット研究サークル |
DRP | 同志社大学レスキューロボットプロジェクト |
第1競技に登場したのは、なだよりあいをこめて(神戸市立科学技術高校 科学技術研究会)と、がんばろう KOBE(神戸市立高専)だ。なだよりあいをこめてチームは、「機械にも人の温かさを」をコンセプトにロボットの搬送用ベッドに柔らかい素材を使い、ライトで照らすなどダミヤンに不安や負担を与えない工夫を凝らしている。前日の救助活動で、3号機「獅子奮迅」のサイドフラップがダミヤンの首に負担を掛けていたのでプラ板を追加して強化したそうだ。
まず4号機「虎視眈々」が素早くフィールド内を駆け回り情報収集を行なった。個体識別を行いつつ、紫ダミヤンの周囲にあるガレキを除去すると、救助は2号機「粉骨砕身」に任せて次のダミヤンの元へ移動した。2号機「粉骨砕身」は子機がダミヤンを親機に収容して無事に搬送成功した。
その間、3号機「獅子奮迅」は家ガレキのダミヤン救助に向かったが、子機のモーターが回らずにロボットベースに一旦戻った。すかさず2号機「粉骨砕身」がサポートに向かったが惜しくも時間切れとなった。活動報告でチームキャプテンが「もう一歩踏み込んだ救助ができるよう練習を積みたい」と語っていた。
がんばろう KOBEチームのロボットは3台全てが救助・搬送を行なえる万能タイプだ。競技が始まると3台がそれぞれのダミヤンの元へ向かった。ところが、無線やマシントラブルが重なりリスタートを余儀なくされた。最後まで、ダミヤン救助にあたったが救助は叶わなかった。
【動画】なだよりあいをこめて(神戸市立科学技術高校 科学技術研究会)の4号機「虎視眈々」が真っ先にフィールドに出て、情報収集やガレキ除去で他のロボットをサポート | 【動画】4号機「虎視眈々」の後を引き継ぎ、2号機「粉骨砕身」がダミヤンの救出と搬送を行なう | がんばろう KOBE(神戸市立高専)。全ロボットが最後まで諦めずに救助活動にあたった |
第2競技は、レスコン常連のT.R.R.L(津山高専電子制御工学科)と、初出場のSHIRASAGI(兵庫県立大学ロボット研究会)が登場した。
3号機「DELTA」は情報収集と搬送機能を持つロボット。万能型の1号機「SQUARE」と協調して紫ダミヤンの救助にあたった。パワーのある3号機「DELTA」が周囲のガレキを押しやり、大型の1号機「SQUARE」の活動場所を確保。1号機「SQUARE」がアームでダミヤンを救助し、3号機「DELTA」のベッドに移した。ところが3号機「DELTA」のベッドがスライドしなかったのか、ダミヤンが落ちてしまう。1号機「SQUARE」は再びダミヤンを救助すると、自分のベッドに収納してロボットベースへ向かった。その間、2号機「FORM」は緑ダミヤンの救助・搬送のミッションを単独で完了した。
SHIRASAGIチームの小型ロボット3号機「さくさく」は大型の2号機「ほいほい」内に搭載された状態でダミヤンの元へ急行する予定だった。しかし、2号機「ほいほい」の調子が悪く動けなかったため、急遽3号機「さくさく」が単独で出動。家ガレキのダミヤン救助にあたった。その間、1号機「ばんばん」は赤ダミヤンの救助に成功。ロボットベースにダミヤンを搬送すると、搬送機能を持たない3号機「さくさく」をフォローするために、すぐさまフィールドへとって返した。1号機「ばんばん」が救助している間、3号機「さくさく」はサイドからの映像を送ってサポート。2機の連携は見事だったが、救助したところで競技終了となった。活動報告で、「あと10秒時間があれば……」と残念そうだった。
【動画】T.R.R.L(津山高専電子制御工学科)は1号機「SQUARE」と3号機「DELTA」の連携で青ダミヤンを救助 | 【動画】SHIRASAGI(兵庫県立大学ロボット研究会)の1号機「ばんばん」が赤ダミヤンの周囲のガレキを除去して救助するようす | 【動画】3号機「さくさく」が単独で黄色ダミヤンの救助を行なった |
第3競技は、メヒャ!(岡山県立大学ロボット研究サークル)とDRP(同志社大学レスキューロボットプロジェクト)。メヒャ!(岡山県立大学ロボット研究サークル)は、画像処理を用いた独自の救援支援システムを作成し、オペレータの操縦をサポートした。
通常、ロボットから送られてくる映像は1つの画面しか表示されない。別の視点や他のロボットからの映像を見たい時には、映像を切り替えるしかない。これでは、連携作業の効率が悪いため、同チームは3台のロボットから映像を1台のPC上に表示するプログラムを作成した。各オペレータは、自分の操縦するロボットからの映像を大きく表示し、救助をサポートするロボットからの映像はサイドに小さく表示するなど自由にレイアウトを変えられる。通路を走行中は、モニタ上で両側の壁に対して中央線を表示することで、オペレーターの操縦を助ける機能も有している。また、前編で紹介したようにダミヤンの胸マークを読み取り自動識別も可能だ。競技では、2号機「アルメーク」が単独で緑ダミヤンの救助に成功した。
DRP(同志社大学レスキューロボットプロジェクト)は、3号機「ハガッツオ」が扇形のアームを閉じたままダミヤンの周囲のガレキを押しやってから、救出に取りかかった。4号機「トビウオ」は、サイドから映像を送って3号機「ハガッツオ」のオペレータを補助。4号機「トビウオ」の救出用ベッドにダミヤンを移送すると、搬送した。ここまでの連携は見事だったのだが、ロボットベース手前でダミヤンを路上に落としてしまい救助活動のやり直しを余儀なくされた。解説からは「助けるだけではなく、搬送の時に優しくすることも必要」とコメントがあった。
【動画】メヒャ!(岡山県立大学ロボット研究サークル)の救助支援システム。1台のPCに各ロボットから送られてきた画像を表示できる | 2号機「アルメーク」が救助したダミヤンを搬送 | 【動画】DRP(同志社大学レスキューロボットプロジェクト)の3号機「ハガッツオ」と4号機「トビウオ」が連携で救助 |
セカンドミッションの確定ポイント |
以上6チームがセカンドミッションを行ない、SHIRASAGI(兵庫県立大学ロボット研究会)とT.R.R.L(津山高専電子制御工学科)がファイナルミッションへの出場権を得た。初日のファーストミッション上位チームと合わせて、ファイナルへ進出するのは以下の6チームである。
【出場チーム】※出走順チーム名 | 団体名 |
---|---|
MS-R | 金沢工業大学 夢考房 |
救命ゴリラ! | 大阪電気通信大学 自由工房 |
なだよりあいをこめて | 神戸市立科学技術高校 科学技術研究会 |
SHIRASAGI | 兵庫県立大学ロボット研究会 |
レスキューHOT君 | 近畿大学産業理工学部 |
レスコン工房 | 名古屋工業大学 ロボコン工房 |
●ファイナルミッションの活動報告
ここまでの競技では、各チームが救出するダミヤンはそれぞれが出動するロボットベース側のフィールド内に配置されていた。それがファイナルミッションでは、相手側フィールド近くに救助するダミヤンがいる場合もある。そのうえ、上空からのヘリテレだけではダミヤンの位置を視認できないようなガレキ配置になっている。そのため、コントロールルームに用意されているコントロール間通信をつかって、互いのロボットの移動経路を確認して道を譲りあったり、ダミヤンの周囲の状況をサポートしあうことが必須となる。
「第9回レスキューロボットコンテスト」ファイナル出場チーム | 【動画】ファイナルでは路上のガレキが増えている。ダミヤンがガレキの下にいて、ヘリテレでは発見できない | 家ガレキにもガレキが被さり、周囲のもガレキも多い |
第1競技は、MS-R(金沢工業大学 夢考房)と救命ゴリラ!(大阪電気通信大学 自由工房)が登場。
MS-Rチームは、実際の災害現場を想定したレスキュー活動をテーマにしている。そのため、作戦会議のヘリテレは使用せず、また競技開始と共にレスキューロボット専用操作機器の設置をはじめるという徹底ぶりだ。
レスキュー方針として、探索機能を有するガレキ除去専用ロボットと救助専用ロボットがチームを組み救助活動にあたる。2号機「Thor」と4号機「Athena」のαチームは、競技開始とともに先行してフィールド内に入り探査と救助活動に取りかかる。1号機「Sleipnir」と3号機「Minerva」のβチームは、レスキューロボット専用操作機器を競技開始後にセッティングを始める。この専用操作機器は、モニターやコントローラー、バッテリも内蔵されており、LANケーブルを接続するだけで救助活動が開始できる。可搬性に優れた専用機だ。
競技では、αチームの2号機「Thor」と4号機「Athena」が、台上の緑ダミヤンを救助した。2号機「Thor」が搬送している間に、4号機「Athena」は次の紫ダミヤンのもとに急行しガレキ除去を開始。搬送を終了した2号機「Thor」は、すぐにフィールドに戻り、紫ダミヤンも無事に搬送した。
一方の救命ゴリラ!チームは、3台のロボットが一斉にフィールドに出動し、各ダミヤンの元へ急行した。2号機「モン太」が受け持った赤ダミヤンのところには、探査活動中のMS-Rチーム1号機「Sleipnir」が先行していたため、コントロール間通信で場所を譲ってもらうよう伝えたそうだ。2号機「モン太」は周囲のガレキを除去し、鉤型アームでスライド式ベッドにダミヤンを収容し迅速に搬送した。
その間、3号機「WANDA」が家ガレキから黄色ダミヤン、1号機「リフ太」が青ダミヤンをそれぞれ救出し搬送。3台が各機の性能を活かして、競技時間を4分以上残してミッションを完了した。チームリーダーは「理想的な形で救助できた」とコメントした。
両チームは、救助中は互いにどの道を通っていいのか、ダミヤン周りのガレキの状況を教え合いながら救助活動を行なったそうだ。ミッションを早く終了した救命ゴリラ!チームから、MS-Rへ「救助補助が必要ですか?」という問いかけもあったという。
第2競技は大会に初出場のSHIRASAGI(兵庫県立大学ロボット研究会)と、ファイナル初出場のなだよりあいをこめて(神戸市立科学技術高校 科学技術研究会)が登場した。両チームは昼休みに、コントロール間通信の活用方法などを相談し、チーム間でも協力して競技に挑むめるようコミュニケーションをとったという。
なだよりあいをこめてチームの3号機「獅子奮迅」は、フリッパーをうまくつかって家ガレキ周辺のガレキを除去していた。フリッパーを開けると子機が出てきて、素早くダミヤンの救助にあたった。2号機「粉骨砕身」の調子が悪かったが、リスタートはかけずに3号機「獅子奮迅」がフォローにあたることで救助活動を続けた。3号機「獅子奮迅」が搬送したが、ロボットベースに到着するより一瞬早くタイムアップとなってしまった。競技終了後、チームリーダーが「3号機に切り替えるタイミングがもう少し早かったら間に合ったという葛藤がある。しかし、リスタートせずに救助することに拘りたかった」と活動報告をした。
SHIRASAGIチームの1号機「ばんばん」が赤ダミヤンの救助と搬出に成功した。救助までは非常にスムースなオペレーションだったのだが、ガレキを乗り越えながら搬送しているうちに、ダミヤンがベッドからずり落ちてきて、路上で再収容する一幕もあった。前日から競技を行なってきたとはいうものの、ファイナルには格別の緊張感があるのか、ロボットの動きからオペレーターの焦りを感じた。
競技中、なだよりあいをこめてチームのロボットがガレキに乗り上げて、動けなくなる場面があった。そこでコントロール間通信を使いSHIRASAGIチームに助けを求め、近くにいたロボットに押してもらった。チーム間のサポートで、リスタートを申請せずにレスキュー活動を続けることができた。
【動画】なだよりあいをこめて(神戸市立科学技術高校 科学技術研究会)の3号機「獅子奮迅」は、フリッパーで器用にガレキを除去 | 【動画】3号機「獅子奮迅」から子機がでて、家ガレキからダミヤンを救助。台上では、1号機「猪突猛進」と4号機「虎視眈々」が協働して緑ダミヤンを救出中 | SHIRASAGI(兵庫県立大学ロボット研究会)。1号機「ばんばん」が赤ダミヤンの救助にあたった |
最期にレスキューHOT君(近畿大学産業理工学部)とファーストミッションで獲得ポイント1位だったレスコン工房(名古屋工業大学ロボコン工房)が競技を行なった。両チームとも全ロボットがよく動き周り、時間内に全ダミヤンの救出に成功した。
レスキューHOT君チームのロボット達はアームの機構が独特だ。2号機「ホーンズ」がフィールド中央で屋根ガレキの中からダミヤンを救助したため、機構がよく見えた。ガレキ除去アームがない「ホーンズ」だが、後部にあるガレキ除去スカートをうまく使い、救助スペースを作っていた。ダミヤンの両側から4本あるアームを差し入れ、アームの間隔を調整して救助に成功した。
一方のレスコン工房(名古屋工業大学ロボコン工房)も3号機「巡」が家ガレキの側面からアームを差し込んでダミヤンを引き寄せ、機体のベッドにのせて救助した。ファーストミッションと同様、非常にスムースな救助だった。高台にいるダミヤンは、コントロールルームからは発見できないところにいたため、レスキューHOT君チームから情報をもらったそうだ。救助活動を終えた1号機「初」や3号機「巡」も高台にあがり、2号機「鏡」の搬送路を確保するなどサポートを行なった。レスコン工房は、周波数でダミヤンの識別を行なっている。「識別に手間取ったので、提出が間に合わなかったかもしれない」と心配していたが、ちゃんと正しく解析されたデータが審査員の元へ届いていた。
●早く助けて! 優しく助けて!!
ファイナルミッションでは、次から次へとダミヤンが救助され見応えのある競技ばかりだった。今回導入された家ガレキは、高度なオペレーションが必要となる難しい課題だったにも限らず、多くのチームが個性的な工夫でクリアしていた。
ガレキ除去については、従来はアームでひとつずつガレキ除去するロボットが多かったが、今年はほぼ全チームが路上のガレキはパワーで押しのける方式を採用していた。スピードアップするためには、有効な判断だと思う。しかしながら、ダミヤン周囲のガレキも無理矢理除去したり、ダミヤンの搬出を急ぐあまり、ロボットベースに帰還する際にガレキの上を乗り越えて走行するケースも目立った。また、搬送中にダミヤンを路上に落とし、救助を最初からやり直す場面は、筆者が気づいただけで4回もあった。
ダミヤンには、痛みを感じるセンサーが搭載しているため、乱暴な扱いをされるとフィジカルポイントが減少していく。搬送されているダミヤンのフィジカルポイントが、急速に減ってゼロになってしまうのを見るのは切なかった。
【動画】かなりのスピードでガレキを乗り越え、ダミヤンを搬送。解説者からも注意が呼びかけられた | 【動画】ダミヤンが痛がっていることが、インジケーターに表示されている | 【動画】カメラの配置によっては、搬送中のダミヤンの状況がコントロールルームでは判らないのかもしれない |
もちろん、記事で紹介したようにロボット同士が協力し、搬送路にあるガレキを他のロボットが除去して安全に走行するチームもいる。レスコン工房(名古屋工業大学ロボコン工房)のロボットは、ロボットを小型化し隘路を移動できるようにしていた。コンセプトとしては、路上でロボット同士がすれ違えるようにということだが、小型化は安全走行にも有効だった。他には、救命ゴリラ!(大阪電気通信大学 自由工房)の2号機「モン太」が、車高を高くすることでガレキの上をロボットが通過できる構造にしていた。
次の表は、会場で表示されたファイナルミッションの確定ポイントを一覧にしたものだ。ポイント1位のレスコン工房(名古屋工業大学ロボコン工房)も2位の救命ゴリラ!(大阪電気通信大学 自由工房)も、フィジカルポイントが高い点に注目してほしい。レスコンでは、ガレキ除去の成否は直接ポイントには影響しない。しかし、ダミヤンの救出・搬送に成功したにも関わらず最終的な獲得ポイントに大きな差がでるのは、ガレキ除去を含めた“優しい救助”活動による。どのチームもコンセプトは、“早く・優しく”を念頭においたロボット設計やレスキュー方針を掲げている。ぜひ、その“優しさ”を競技の中で実践し、成績に結びつけてほしい。
【動画】パワーで路上のガレキを押しやる。救命ゴリラ!(大阪電気通信大学 自由工房)の2号機「モン太」は、車高が高いため、小さなガレキはスルーできる | ファイナルの確定ポイント一覧。青地のダミヤンは、屋根ガレキ内にいたことを示している |
もうひとつ特徴的だったのは、各チームでレスコンボードの活用が進んでいることだ。記事の中ではあまり紹介できなかったが、ロボットをオペレーションしやすいようにモニタ画面の表示をカスタマイズしているチームが増えた。
そしてファイナルでは、コントロール間通信を活用して、2チームが協働してダミヤン救出にあたるのがごく普通に行なわれるようになった。競技で一番面白かったところは、レスコンボードを活用した救助の内容であり、緊迫した状況の中でコントロール間通信を行なってレスキュー活動に成功した点だろう。
その一番面白い部分が記事内にあまり活かされていないのは、コントロールルームでの状況は観客席からは見えない状態になっているためだ。競技前に行なわれる作戦タイムの状況も、競技中のオペレータ同士の会話も全くようすが判らない。予定通りにロボットが動かず急遽サポート体制を検討したり、相手チームとの通信で互いを助け合ったり、救助に成功して喜んだりといった参加者達の生の緊張感や興奮がひとつも伝わってこないのだ。
客席から見えるのは、ダミヤンを救出するために時間を掛けて何度も何度もアームの位置を調整しているロボットの動きだけだ。ここにコントロールルーム感の緊張感溢れる音声があれば、観客も緊張やミッション成功の喜びを共有できるだろう。
2チームが同時に複数のロボットを動かしていることや、フィールド内はオペレータ達は見ることができないというルール、大がかりなセットなど、数々の問題があることは承知している。しかし、参加者達のレベルが格段にアップし、レスコンの面白さがロボットの機構や動きだけではなくなってきたことを考えると、競技の見せ方にももう一工夫欲しいと願わずにいられない。
●受賞チーム発表
第9回レスキュー工学大賞(計測自動制御学会賞)は、レスコン工房(名古屋工業大学 ロボコン工房)が受賞しサンリツオートメイション杯が授与された。
レスコン工房(名古屋工業大学 ロボコン工房)、中間審査、ファーストミッション、ファイナルミッションでも獲得ポイントが1位という素晴らしい成績で、ベストパフォーマンス賞も受賞した。
ベストチームワーク賞には、なだよりあいをこめて(神戸市立科学技術高校 科学技術研究会)が選ればれた。偵察用小型ロボットが、現場状況を収集し他のロボットへ提供したり、2号機「粉骨砕身」による救出が難航している時に3号機「獅子奮迅」へと救出方法を切り替えるなど、総合的にチームワークが取れていたことが評価された。
レスキュー工学大賞 (レスキューロボットコンテスト計測自動制御学会賞) | レスコン工房(名古屋工業大学 ロボコン工房) |
サンリツオートメイション杯 | レスコン工房(名古屋工業大学 ロボコン工房) |
ベストパフォーマンス賞 | レスコン工房(名古屋工業大学 ロボコン工房) |
ベストチームワーク賞 | なだよりあいをこめて(神戸市立科学技術高校 科学技術研究会) |
ベストロボット賞 (レスキューロボットコンテスト日本ロボット学会賞) | MS-R 3号機 Minerva(金沢工業大学 夢考房) |
ベストプレゼンテーション賞 | T.R.R.L 筒井 法子(津山高専 電子制御工学科) |
消防庁長官賞 | MS-R(金沢工業大学 夢考房) |
日本消防検定協会理事長賞 | レスキューHOT君 |
2009/8/27 18:51