大阪道頓堀で動画プリクラ「未来SNAP」のサービスを開始

~AR技術で、面白コンテンツを友人や世界に配信できる


次々現れるアニメーションと自分が合体した動画がリアルタイムで作成される「未来SNAP」

 大阪市中央区道頓堀にオープンした「道頓堀中座くいだおれビル」の一角に、AR(Augmented Reality:拡張現実感)技術を用いた動画プリクラ「未来SNAP」が登場した。

 AR技術とは、Webカメラなどで撮影した映像に3DCGのアニメーションを合成して表示する技術だ。7月20日放映のテレビ番組「SMAP×SMAP」でも、ヘッドマウントディスプレイを装着すると動物たちが飛び出して動きまわって見える絵本が紹介された。「未来SNAP」では、番組でキムタクが驚いたのと同じような体験ができるわけだ。

 未来SNAPの遊び方は、カンタンだ。ブースの椅子に座って正面にいるNECのPaPeRoと挨拶をしたら、PaPeRoの合図で未来メガネを掛けて「大阪、サイコー」と叫ぶ。すると自分の口から「Osaka」の文字とたこ焼きがこぼれでてくる映像が、PaPeRoの後方にあるモニターに映し出される。驚いて顔を横にむければ、たこ焼きが噴水のように口からポロポロと吹き出る。PaPeRoに接近したり、飛び回るたこ焼きを手で払ったり自由に動いてみよう。

 20秒間のAR体験を終了すると、スタッフがQRコードカードを発行してくれる。携帯電話でQRコードを読み取ってアクセスすれば、今撮影したばかりの動画を見ることができる。データは3日間で消去されてしまうため、何度も見たければダウンロードしておこう。動画は友達へのメールに添付したり、ブログに貼ったり動画サイトに登録して、みんなを楽しませることもできる。

 実際に未来SNAPを体験してみると、自分の動きに合わせてたこ焼きが画面に現れて動き回るのが面白くて声を上げて笑い転げてしまう。しかし、プリクラ世代よりちょっぴり年齢が上の筆者は、「自由に動いてください」と言われてもとっさに何をしていいのか分からなくて、オタオタしてしまうのだった。

 東京から観光に来たという20歳の女の子二人組が遊ぶようすを見ていると、さすがにカメラ慣れしている。未来メガネをつけた途端「えー、何これ!」「すごーいっ」と大喜び。口からこぼれでるたこ焼きを横にいる一人が摘んだり、カメラに近づいてアップになったり楽しんでいた。初AR体験の感想を聞くと「面白~い!! めっちゃ、大阪! って感じー」とノリノリのコメントだった。

 未来SNAPのアニメーションは、たこ焼きバージョンとくいだおれ太郎バージョンがあり、大阪の観光コンテンツとしても楽しめる。利用料金は1回500円。営業時間は11:00~22:00。

NECのPaPeRoの案内で、ARを体験【動画】未来メガネを掛けてAR体験スタート!
スタッフもPaPeRoと一緒に場を盛り上げてくれる【動画】くいだおれ太郎バージョンもある

 道頓堀中座くいだおれビルは、昨年閉店した料理店「大阪名物くいだおれ」から名称と名物人形「くいだおれ太郎」を借り受けている。1階のフードコート「NAKAZA 8 STREET」(通称:エヌハチ)には、グリコとコラボした新大阪名物「シュータコヤキ」や串カツ、たこ焼きなど大阪フードの8店舗が並んでいる。今なら各店舗のレジで未来SNAP割引券も配布されている。

道頓堀中座くいだおれビルのフードコートビル内で、くいだおれ太郎が観光客を呼び込み中3Dプリクラ「未来SNAP」のブース

急速に普及し身近になりつつあるAR技術

 「道頓堀 未来SNAP」に活用されたAR技術は、奈良先端科学技術大学院大学の情報科学研究科 加藤博一教授が監修している。

 加藤教授が開発したAR映像合成は、次のような仕組みになっているという。まずカメラで撮影した映像をコンピュータに送る。同時にカメラはビデオフレームから情報伝達の起点となるマーカーを探す。起点とカメラの相対的な位置を3次元計算で求め、同じ位置にコンピュータグラフィックスを描画する。この処理をリアルタイムで行なうため、合成出力された映像はまるで現実の映像のように見えるわけだ。未来SNAPでは、撮影はPaPeRoに搭載されたカメラ、起点になるマーカーには未来メガネを使っている。

 ARの核となる要素技術は、位置認識、画像認識、方向認識の3つがある。これらの情報を処理するために、従来は高性能なコンピューターが必要とされたが、ハードウェアの性能向上によってノートPCや携帯端末でも処理が可能となった。また、加藤教授が開発したオープンソースの「ARToolKit」がARの普及に大きく貢献しているという。

 今年になって、3DCGを投稿できるコミュニティサイト「cg」がAR表示機能を追加したり、DOCOMOのケータイ「HT-03A」にARアプリが提供されたりと、AR技術は急速に普及が進んでいる。そうした中で、未来SNAPはAR技術を活用した初の有料化サービスとして各方面から注目を集めている。

 未来SNAPを運営する株式会社ジャイロウォークの代表取締役 石古暢良氏は、「道頓堀は、古くから芝居や遊行の街として大阪の文化を担ってきた。最先端技術で大阪の“あたらしもの好き”気風に働きかけ、大阪発の若者カルチャーを発信していきたい」という。

未来SNAP開発関係者AR技術は、東京オリンピック招致プレゼンテーションでも使われるなど世界中で注目を集めている


(三月兎)

2009/8/20 17:07