ヴイストン、エントリーモデルの小型二足歩行ロボット「Robovie-nano」を発表
~全高23cm、重量575g。49,350円で予約受付中
Robovie-nano(中央がベースモデル) |
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)とヴイストン株式会社は、両者が販売しているロボット「Robovie」シリーズの新機種として「Robovie-nano」を発売すると発表し、8月10日から同社ウェブショップそのほかで予約受付を開始した。本体価格は49,350円。
「Robovie-nano」は全高23cm、重量575g(バッテリ搭載時)、全身15自由度(頭1、腕3×2、脚4×2)を持ったホビー用途の小型二足歩行ロボット。サーボモーターには小型の「VS-S020」を採用。安価なシステムを実現することを目指して軽量小型化する一方で、脚部には平行リンク機構を用いることで、低トルクで位置制御値が安定しにくい小型サーボモーターでも安定して歩行動作ができるようにした。
ロボットの制御ボードには同社の「VS-RC003HV」を採用した。モーションエディタには付属ソフトウェア「RobovieMaker2」を用いる。ユーザーはフローチャート形式に類似したインターフェイスでモーションを作成できる。PCとのインターフェイスはUSB。対応OSはWindows 2000/XP/Vista。電源は単4ニッケル水素電池×4本(別売り)。入手しやすさを優先したという。スピーカを標準搭載し、音声を出力出来る。本体単品のほか、無線コントローラVS-C1とのセットを53,350円で、コントローラ、ジャイロとのセットを63,000円で発売する。
ヴイストン社代表取締役 大和信夫社長 |
ヴイストン社代表取締役の大和信夫社長は、このロボットのコンセプトについて、「我々は世の中にロボットを普及させなければならないと考えている。手軽に遊べるエントリーモデルを作りたかった」と述べた。製品開発にあたっては、同社が展開する練習会やロボットセンター(ロボットショップ)そのほかで聞いたユーザーの声をフィードバックしたという。特に、「高機能化」よりも「低価格化」を望む声が大きいことを、ロボットショップに来店する顧客とのやりとりを通じて実感したそうだ。
ホビーロボットは当初に比べるとだいぶ安価になってきた。だが、実際に遊ぶためにはオプションが必須であったり、予備のサーボやバッテリーなど保守運用のための維持費が必要となったりして、とかく高コストになりがちだ。何よりも現在、ショップに来店する顧客からは、価格に対する要望が大きかったという。
また、自由度の追加や自律化といった拡張性がないと、ユーザーは継続して楽しめない。そこで、小型にすることで安価で気軽に遊ぶことができ、なおかつシステム全体の価格も運用コストも引き下げたロボットを開発した、という。「Robovie-nano」のサーボモーターVS-S020は、1,500円程度で購入出来る。軽量となると持ち運びも容易で、いろいろなところに持ち運んで人に見せることも簡単になる。
ロボットの構成自体は、これまで同社が開発して来たホビーロボットとあまり変わっていない。従来のユーザーから評価の高い音声出力機能などもそのまま搭載されているし、「RobovieMaker2」も用いることができるため、これまでの同社ロボットのユーザーには扱いやすいものとなっている。
これまでのロボビーシリーズ。累計1万台以上を販売しているという | Robovie-nano概要 | シンプルで安価な構成を目指した |
平行リンクを採用した脚部を後ろから |
コンパクトでハイパフォーマンスのロボットを目指したという「Robovie-nano」だが、低トルクで位置精度の低い小型モーターでも安定歩行できるように脚部には平行リンク機構を採用している。平行リンク機構はキットにするには構造が複雑になる欠点もあるが、「Robovie-nano」では片方ずつ対称に平行リンクを組むことで構成部品を少なくした。同社では「シンプルリンク」と呼ぶこの機構によって、指が挟まれる危険も減少したという。
なおコントローラとのセットモデル等のほか、腕先のハンドグリップや脚のヨー軸を追加したモデル、外装パーツ、頭部につけるLEDなども販売される予定だ。ジャイロ・加速度センサーもオプションで用意されるが、つけなくても安定して歩行できるという。
出荷予定は9月中旬。予約者には特典として予備サーボVS-S020が1つ付く。ヴイストンのウェブショップ、東京・福岡で同社が展開するロボットセンター、ATR-Roboticsのほか、ロボット専門店で購入できる予定。ジャイロ・加速度センサーやオリジナル外装パーツのほか、手先につけるグリッパや、頭部に搭載するカメラをオプションとして販売していく予定という。
デモンストレーションでは、外装付きモデルやグリッパモデルのほか、頭部搭載したカメラ画像をトランスミッタで飛ばし、それをHMDで見ながら操縦するデモも行なわれた。開発にあたったヴイストン社R&Dセンターの横山智彰氏は、「ロボットを動かす楽しみを感じて欲しい」と語った。
グリッパ付きや頭部にカメラを搭載するオプションも発売予定 | グリッパでものを掴むこともできる | グリッパは輪ゴムで止めることでサーボに過剰な負荷がかかることを防ぐ |
頭部のLED | 頭部にカメラを搭載したモデル | 【動画】ボールを掴んで運ぶ |
【動画】カメラ付きモデルをHMDで操縦するデモ。カメラ用のバッテリ(9V)は別途背面に搭載する | 各バリエーションの集合写真。一番奥のRobovie-Xと比較するとかなり小さい |
2009/8/10 20:28