「第7回わんだほーろぼっとか~にばる」開催

~なつやすみ、はじめてのわんだほー観戦記


 7月19日は世間的には夏休みらしいですが、今だに夏休みではない夏休みがない、せとふみです。3連休でもなかった気がしないでもないのですが、そんな3連休の中日にお出かけしたのは、今ロボットが熱いエリア、お台場です。パナソニックセンターでは第3回 ROBO-ONE SOCCERの熱戦が繰り広げられていたようですが、暑いのは苦手な北国育ちなので、向かったのはテレコムセンター展望台。

 自家用車で行ったのですが、地下駐車場から21階展望台に行くのにえらく迷った上に、休日のオフィスビルは人気がなくてがらんとしていて、しかもエスカレータも停止していてちょっと怖かったです。ちなみにお台場エリアに入った途端、車が混雑しておりました、これもガンダム効果のようです。迷いつつも20階の展望台入口まで何とかエレベータで昇ると、そこでは実物大ガンダムをかなり遠目に、ゆるゆる~っと『第7回わんだほーろぼっとか~にばる』が開催されておりました……。

展望台にぐるっと設けられた選手控えエリア、展望台入場には大人500円ですが、入ってしまえば望遠鏡は無料で見放題。羽田空港に着陸する飛行機が目の前で旋回し、飛行機の正面・横顔・後ろ姿が楽しめますロボットイベントが重なっているにもかかわらず多くの観客が……、と言いたいところですが、この写真はROBO-ONE Soccerが終了後の、お客さんが流れてきたときの様子ちなみに大会の様子はインターネット配信され、秋葉の『ロボット王国』では巨大画面で楽しめたようです。撮影中にそっちのカメラに写りこんでないかドキドキでした

スピード(と運)のガチンコ対決、『ダッシュ!2000』

 実行委員長の開会挨拶も終わり、『わんだほー』の競技は、各参加者とロボットの自己紹介から始まります。実は私、『わんだほーろぼっとか~にばる』は初めての観戦、もちろん参戦したこともないので、わんだほーの競技を見るのも初めてです。正直それでレポート記事が書けるのかかなり不安だったので、ちゃんと前回のレポート記事を拝見して予習をしてまいりました。予選の第一競技は『ダッシュ!2000』、スタートから1m先のパイロンをターンし、往復2mの道のりをゴールするまでのタイムを競います。『2000(mm)』というところが、機械系エンジニアの心意気を感じますね。

 しかしともかくこの大会、『競技ができる大きさの歩けるロボット』であればOK! なんて言っているので、出場ロボットの体格差がありすぎです、撮影が大変です。特に『ダッシュ!2000』の第一試合は、ドカ父氏のロボット『ドカはるみ』と、イガア氏のロボット『サアガ』。『ドカはるみ』の頭が『サアガ』の全身くらいのサイズ差です。1mなんざ『ドカはるみ』にとっては2歩くらいじゃないかと危惧したのですが、しかし実際にスタートしてみると、フラダンスばりの腰振りでセクシーにしずしず歩く『ドカはるみ』の足元をちゃかちゃか走る『サアガ』が、早い早いあっという間。初っ端から10秒09というダントツの好タイムで、他の追随を全く許さず、トップをもぎ取って行きました。

『ダッシュ!2000』ではタイム順&対戦での勝敗に応じてポイントが割り振られます。倒れたロボットを手で起こしたら+5秒のペナルティ。たまに神の手がロボットやパイロンを移動させたりさせなかったり【動画】『ドカはるみ』VS『サアガ』の『ダッシュ!2000』。圧倒的な速さを誇った『サアガ』でしたが、『ドカはるみ』の腰の位置が高くて、何だか妙に色っぽいのです

小型ロボットのパワー勝負!?『ボトルトラクション』

 予選の第二競技は先ほどのスピード勝負とは打って変わって力比べ、ペットボトルをかごに積んで、それを押すなり引くなり持つなり蹴るなりして、1分間でどれだけの距離を進めたか競います。ペットボトルの本数×移動距離が得点となるので、本数を増やせば増やすほど点数が多くなるのですが、かと言って重すぎると移動距離が伸びず……、という、距離を取るか本数を取るかの作戦がモノを言いそうな競技です。

 ここでも最初から飛ばしてきたのが『サアガ』、本数×3倍の得点となる1.5リットルのペットボトルをなんと9本もかごに積んでおります。総重量13.5kg、『サアガ』が恐らく2kg弱といったところなので、自分の6倍以上の重さを、押せるのか? 押してる! うわぐんぐん押してる……、というこの驚き。よく見ると足裏が、特殊仕様の巨大なものに変わっております。あれで床面との摩擦力を稼いでいるのでしょうが……。惜しくも最大距離2mには届かなかったものの、得点4,914点という、またしても2位以下に大差をつけてのトップとなりました。

 『サアガ』とはまた違った意味で記憶に残る試合を行なったのが、ぴしい氏のロボット『ロボ子P1』。身長80cmほどの女性型の機体、そしてカラーリングは黒と白ベースでミニスカートに白いエプロン、そう、俗に言うところの『メイドロボ』なわけです。その姿に合わせて『ロボ子P1』、トレイにヤクルトを1本載せ、ご主人様のもとへと運んで行こうとしたのですが……。

『ボトルトラクション』ではかごに入れるペットボトルの本数&種類は競技者が最初に選択可能で、さらに競技中に減らすこともできる。制限時間が1分間と決まっているので、早めに減らす決断をするのも戦略のうち【動画】『ドカはるみ』VS『サアガ』の『ボトルトラクション』。決まったモーションを再生しているはずの『サアガ』なのですが、妙に最後のひと押しに力を込めているように見えるのは私だけでしょうか
ぴしい氏のロボット『ロボ子P1』。ミニスカートからすんなりと伸びる脚が素敵です。メイド服も、トレイに載せたヤクルトもばっちりだったのですが……【動画】『ロボ子P1』の身体に触れるのには、スタッフにもやや遠慮があったのでしょうか……? 見事に周辺に甘い香り(とヤクルトの中身)を振りまく『ロボ子P1』。そんなメイドロボに振り回される大人たちを尻目に、着実に歩みを進めるのはオサル氏のロボット『オサル2号』。人生、堅実が一番です

 ちなみに使用されたペットボトル飲料は(その後の競技で競技台の重しに使う1.5リットルペットボトルを除き)希望する参加者・観客へと配布されたのですが、うっかりもらいそびれてしまったので自動販売機でお茶を買いました。熱戦も一休みです。

サイコロの出目は意外と正直?『サイコロシュート』

 予選第3競技、予選最後の個人戦となる『サイコロシュート』。サッカーボールの代わりにサイコロでサッカーを行ない、シュートが決まった際のサイコロの出目がそのまま得点になるという競技です。運に左右される!? と思いきや、意外とサイコロの出目は正直なもので、3回もシュートすればほぼ期待値通りの点数になります。今までの競技の中ではフットワークと操作の確実性が効いてくる、結構まともな競技です。

 そんな見た目とは裏腹に堅実な競技で大量得点を挙げたのは、東京理科大学ロボットクリエーターズのロボット『マンボー』。B作氏のロボット『おふじゃんびぃZ』を相手に、相手のオウンゴールはあるわ終了間際(というかむしろロスタイム中)のゴールで見事6の目を出すわと、終わってみれば15点の大量得点。これまでトップを死守していた『サアガ』や、白風M氏のロボット『ゼルファー』が14得点を挙げるも、『サイコロシュート』は何とか『マンボー』が一歩リードすることに。

『サイコロシュート』では正方形のリングの1辺が自分のゴールとなり、それぞれ相手のゴール側にボールを出すと、その時のサイコロの出目が得点となる。サイコロは手で持っても可【動画】東京理科大学I部無線研究部のロボット『サイコログレート』とざき氏のロボット『マノイさん』の一戦。開始直後の変形で『サイコログレート』が攪乱作戦(?)に出るも、結局攪乱されたのは己?【動画】『マンボー』と『おふじゃんびぃZ』の後半戦。『おふじゃんびぃZ』がスローイングで一気に攻め込もうと試みるも『マンボー』の見事なクリア。そのまま進撃の手を緩めなかった『マンボー』が高得点を挙げる

 さらに今大会、オンラインでもオフラインでも一番「かっこいい!!」の賛辞を集めた(と思われる)のが、『オサル2号』のサッカー競技。零型氏のロボット『Eorz』に当初は押され気味でしたが、『オサル2号』の上部には先ほどまでの競技では見なかった秘密兵器が……。鋭い牙付きの頭部がサイコロに襲い掛かり、そしてガブリとくわえて離さない!『Eorz』が何とかボールを奪い返そうと必死の攻撃を加えるも攻めあぐね、それをどこ吹く風とのしのしサイコロをくわえて我が道を行く『オサル2号』。大歓声の中、見事ゴールを決めたのでした。

【動画】サイコロをがっぷりくわえた『オサル2号』。『Eorz』が必死に奪い返そうとするも……【動画】道楽、氏のロボット『で・か~る』と人形つかい氏のロボット『ゴーレムくん』の一戦。『で・か~る』のパワフルなシュートモーションが『ゴーレムくん』に襲い掛かるが、やはりそれは諸刃の刃?

団体戦『キューブ』は即席チームワークが決め手!

 予選の最後は、3対3の団体競技である『キューブ』。競技台中央に積み上げられた5つのキューブをできるだけたくさん自軍の陣地に運び、2分間の競技時間終了時にどれだけ集められるかを競う競技です。しかしながら、競技台からリングアウトしてしまったロボットは二度と競技に戻れないというデスマッチ風味も漂うこの競技、チーム内でのちょっとしたミスがあっという間に形勢逆転につながります。

 助っ人も入れて全12チーム、6試合が終わって予選終了。これまでの予選競技の得点をすべて総合して、決勝であるROBO-ONEバトルトーナメントに進出する4体のロボットが発表になります。決勝進出は上位から順に、イガア氏のロボット『サアガ』、アキツカ氏のロボット『ダイガック』、東京理科大学ロボットクリエーターズのロボット『マンボー』に白風M氏のロボット『ゼルファー』。ロボットイベントが各地で重なってしまい強豪が分散してしまったという理由もありますが、『サアガ』以外はすべて大学生によるロボットと、新風が巻き起こる結果となりました。

『サイコロサッカー』と『キューブ』の間の休み時間にはデモンストレーションが。小田利延氏のロボット『Kinopy』が腕を上げた木琴で、お台場の等身大の例のロボのテーマ曲を披露『Kinopy』は人気者、ということで今回の『わんだほー』には『Kinopy』をリスペクト? オマージュ? した(もしくはパクリ?)ロボット『Alumiy』も出現
『キューブ』の競技の様子。風船は敵味方が分かりやすいようにするためのものだが、競技中に派手な音を立てて割れるので怖いです【動画】『小雪』『マノイさん』『ミルフィ』の可愛い系トリオと『プロトザウラー』『WegweiserIII』『NOVA-K』のヒーロー系トリオの対戦。着実にちょこちょこと歩みを進めた『マノイさん』がいい仕事してます

新風吹き荒れる『ROBO-ONEバトル』

 さて、それでは上位4体のロボットによる『ROBO-ONEバトル』!……の前に、予選敗退のロボットたちによる『ランブル』が開催されました。ルールはただ一つ、最後まで競技台の上にいること。そんな激しい攻防戦を制したのは、オマタ氏のロボット『Alumiy』。「ニセモノ」と言われつつも最後見事に常連の意地、そして大学の後輩にも先輩の意地を示すことができました。

『ランブル』の激しい戦いを制した『Alumiy』。取れかけた帽子や顔のしわしわ感に偽物っぽさ……ではなくて戦いの激しさを感じられます決勝の『ROBO-ONEバトル』に勝ち上がった、左から『マンボー』『サアガ』『ダイガック』『ゼルファー』ふと外を見れば勝者を祝福するかのような虹が空に

 そして始まった決勝のROBO-ONEバトル、強豪イガア氏の『サアガ』に青春真っ盛りの学生3名が胸を借りると言った図式でしょうか。『サアガ』と『マンボー』の準決勝、『ゼルファー』と『マンボー』の3位決定戦、そして『サアガ』と『ダイガック』の決勝戦を続けてご覧ください。

【動画】『サアガ』と『マンボー』の準決勝。開始早々『サアガ』の派手な投げ技が炸裂するが、負けじと『マンボー』も投げ返す。最後は『サアガ』が見事なバックドロップを決めて完全勝利!【動画】『マンボー』と『ゼルファー』の3位決定戦。『ゼルファー』がテンポよく2ダウンを奪うが、そこからしぶとく残る『マンボー』が2ダウンを奪い返し、最後は手数に勝った『マンボー』が3ダウンを奪った【動画】『サアガ』と『ダイガック』の決勝戦。準決勝では『ゼルファー』に現実の厳しさを教えた『ダイガック』でしたが、決勝戦では『サアガ』の圧倒的な力の差に1分持たずリングに沈められることに……

 というわけで優勝はイガア氏とロボット『サアガ』、文句なしの完全勝利でした。また、もっとも『わんだほー』らしいロボットに贈られる賞『わんだほーオブわんだほー』は、白風M氏とロボット『ゼルファー』のもとへ。……可愛い学生さんに、あんまり変な賞品あげないでくださいよもう。

 すべて終わった頃にはとっぷり日も暮れ午後8時、実はうっかり昼ごはんを食べそびれてしまっていて空腹このうえなしだったのですが、そんな私に実行委員長のいしかわ氏がお土産をくださいました。……日本酒の4合瓶、しかもロボットショップ『テクノロジア』さまからの協賛賞品だったようです。ありがとうございます、よしこれは早く帰ってうまいつまみでも作って食べて飲むしかない! と、会場を後にして車で帰途についたところ、お台場エリアが渋滞でなかなか抜け出せない罠。ちょうど実物大ガンダムのライトアップが終わるのが午後8時、その見物客の帰り道の渋滞に、見事にはまってしまいました……。そして車で行ったので、結局ガンダムの姿を見ることができませんでした。お台場にお出かけの際は渋滞に気をつけ、そしてお見逃しのないよう十分ご注意を。

 そんな感じにロボットイベントで、ゆるゆると過ごした夏の一日。みなさまもこの夏の間、ぜひ一度お出かけしてみてはいかがでしょうか?

優勝したイガア氏とロボット『サアガ』。王者の貫録です『わんだほーオブわんだほー』に輝いた白風M氏。賞品はゲームブック『クイーンズゲイト』のキャラクター『アリス』のフィギュア……参加ロボット&お助けロボットが全員集合しての記念写真。夏休みの思い出になりますね


(せとふみ)

2009/7/30 20:54