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ロボカップ2009グラーツ世界大会で、関西ブロックの「Rock On」が優勝

〜ロボカップ・ジュニア レスキューチャレンジ


「Rock On」のデモ走行を見守る村田智美さん

 6月29日(月)〜7月5日(日)にオーストリアのグラーツで開催された「ロボカップ2009グラーツ世界大会」ロボカップジュニアで、レスキューチャレンジプライマリー部門に出場した村田智美さん(京都市立美豆小学校4年)が優勝した。11日(土)に、村田さんが日頃からロボット講習を受けているダイセン電子工業(大阪日本橋)で優勝報告を行なった。

 レスキューチャレンジは、センサーを搭載した自律型ロボットが4つの部屋に見立てたフィールドをライントレースや障害物回避をしつつ、要救助者を発見し、ゴールまでのタイムを競う。予選を兼ねた個人競技は、難易度の異なる3つのフィールドを1日1フィールドずつ走行。上位12チームが、2カ国でチームを組み競技をするスーパーマルチへの出場権を得る。村田さんは、個人競技は2フィールドを完走し、個人順位2位でスーパーマルチへ進出した。

 スーパーマルチでは、Vivinho Team(ポルトガル)、RoboKid(オーストラリア)、Tafemoge(ハンガリー)の3チームとそれぞれペアを組んだ。Vivinho TeamペアとRoboKidペアで254点をあげて同立1位、Tafemogeペアは3位の成績で、村田さんは優勝〜3位まで独占した。

 村田さんは、ロボット講習会の仲間達に競技会場の風景やセレモニーの写真をモニタに映しながら、出場報告をした。

 村田さんのロボット「Rock On」は、5月のジャパンオープン以降、方位センサーを追加したという。4つ目の部屋は、床に爪楊枝のような棒がばらまかれているため、タイマー管理で方向転換した場合、タイヤに障害物が絡むと誤差が生じるおそれがある。その対策として、方位センサーを採用したそうだ。ところが、会場では磁場が乱れていて、方位センサーが誤動作することが多かったという。そこで、タイマーと併用して課題をクリアしたそうだ。

 ロボカップジュニアでは、競技会場のパドックにはメンター(指導者)は一切立ち入ることができず、選手は競技中のトラブルは全て自分の力で解決しなくてはならない。一人で不安はなかったの? という質問に対して、村田さんは「楽しかった」とニコニコして答えた。

 競技期間中は、「今日はそろそろ終わりにして、夕飯に行こう」とお母さんが声をかけても「まだ調整が完璧じゃないから」と、8時過ぎまで黙々とプログラミングを続けるくらい夢中になっていたそうだ。

 村田さんは、「方位センサーの精度をアップして、来年のシンガポール世界大会にも出場したい」と抱負を語った。

世界大会で優勝した村田智美さん(京都市立美豆小学校4年) 「Rock On」は、TJ3をベースに、外装を3DCADで設計、NCフライス盤で加工している 優勝ロボット「Rock On」のデモ走行を講習会の仲間に披露
【動画】難しい直角コーナーやカーブ後のギャップも難なくクリア。障害物は赤外線センサーで検知している 【動画】坂道から先はラインがないため、プログラムを切り替えて制御している デモ走行をするために、センサーの調整中

世界大会出場の思わぬトラブル

 前述のように素晴らしい成績を残した村田智美さんだが、グラーツでは競技出場に際して思わぬトラブルがあったという。以下の話は、メンターを務めた父親の村田氏から伺った。

 ロボカップジュニアには、初日にインタビュー審査があり、ロボットのコンセプトやプログラムについて審査員にアピールしなくてはならない。このインタビューは英語で交わされるが、智美さんも通訳に助けられながら審査を受けて合格した。

 しかし2日目の朝、智美さんは再度インタビューを要求された。そしてインタビュー終了後に、村田氏はレスキューチャレンジのスタッフから「Rock ONの製作には、お父さんがどの程度、手を貸しているのか?」と質問されたそうだ。

 ロボカップジュニアでは、ロボット製作やプログラミングにメンターから助言はしても、手は一切貸さないことになっている。ジャパンオープンの競技会場でも、パドックにはメンターは入れないのだから、自力でプログラムやトラブル対応ができないようでは競技に勝つことはできない。

 もちろん村田氏もその点を説明したのだが、にわかには信じてもらえなかったという。智美さんが製作した「Rock On」は、写真を見ても分かるように、小学4年生が自作したとは思えない完成度の高いロボットだ。小柄な智美さんは、海外では実年齢よりも幼く見えるのだろう。彼女の作業風景を見たことがない人から、「本当に彼女が作ったの?」と思われてしまうのも無理からぬ話かもしれない。

 Rock Onの外装は、NCフライス盤で製作している。NCフライス盤にデータを出力するためには3DCADでフレーム設計しなくてはならない。智美さんが、質問してきたスタッフの前で3DCADでパーツを描いてみせると「私は、彼女がロボットを製作したのを信じる。でも、他のスタッフからは疑問の声が高いため、今回は出場してもポイントは与えられない」と言われたそうだ。

 これに対して村田氏は「彼女が自分で作ったことをスタッフに証明する場を設けてほしい」と依頼した。そして3日目の朝、智美さんに、急遽パドックに用意したテストコースを走破する課題が出された。コースは直角コーナーもある難しいものだったそうだが、智美さんはものの4〜5分でプログラムを調整し課題をクリアしたそうだ。こうして自分自身がロボット製作者であることを、審査員達に証明し競技への出場が認められたという。

 村田氏は「こういうこともあるので、子ども自身がロボット製作者であることを証明する手段は考えておいた方がいい」と語った。

 子ども達が力一杯競技を楽しめるよう、世界大会を目指すジュニアのメンターの方々にぜひ参考にしていただきたいと思う。

難しい加工は、特殊治具を作って自分でやっている。これは基板の電子パーツを外すための工夫 3D-CADでパーツを設計 ロボカップ・ジャパンオープン会場で掲示した「Rock On」のプレゼンシート


(三月兎)

2009/7/14 14:11

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