香川県高松で「ロボットフェスタ in ヨンデンプラザ・サンポート」を開催

~ASIMOショーや宇宙ロボット「KUKAI」との通信体験を実施


 5月2日(土)、3日(日)の両日、香川県高松市駅前の高松シンボルタワー タワー棟1Fにあるヨンデンプラザ・サンポートにおいてロボットフェスタが実施された。

 ヨンデンプラザでは平成16年にオープンして以来、春と秋にASIMOを招きロボットイベントを実施してきた。11回目を迎える本イベントは、香川ヒューマノイドロボット研究会や香川大学、詫間電波専門学校等と協力し地域振興イベントとして規模を広げた。GW後半初日、ASIMOや四国内外のロボットビルダーが作る二足歩行ロボットが集まり、多くの親子連れを楽しませた。

ASIMOがクイズやダンスで子供たちを楽しませた1日中、多くの親子連れが訪れてロボットの妙技を間近でみて歓声をあげたGWの地域イベントでにぎわうサンポート高松

テザー親子宇宙ロボット「KUKAI」の通信体験

 「KUKAI」は、今年1月にH2Aロケットで打ち上げられた人工衛星「STARS」の愛称だ。香川大工学部の能見研究室を中心とした香川衛星開発プロジェクトが開発した。「KUKAI」のサイズは、160×160×405mm(幅×奥行き×高さ)、重さ8kg。宇宙区間で親機と子機に分離し、今はテザー(ひも)で連結されている。

「KUKAI」のフライトモデル香川大工学部の超小型人工衛星「KUKAI」。親機と子機が釣り糸一本でつながれた親子衛星能見公博氏(香川大工学部 准教授)

 「KUKAI」は、地上から約660km上空を周回し、98分で地球を1周している。地球の自転の関係で、香川では1日4~6回信号を受信できるという。イベント会場の駐車場に移動基地を設置し、衛星が上空を通る時間に合わせてアンテナの向きと受信機の設定をして「KUKAI」からのモールス信号を受信した。会場では、モールス信号で「hello world」の後に、衛星の姿勢や温度などのデータを受信できた。

 今回使用したアンテナは、アマチュア無線家の苧側(おがわ)正明氏(東芝ライテック株式会社)の手作り。苧側氏は、「KUKAI」のアンテナ開発にも携わってきたという。アマチュア帯域を通信に使用する場合は、情報を公開する必要があるため通信フォーマットはSTARS地上局で公開されている。装置を用意すればアマチュアでも自由にロボットからの情報を受信できる。現在は、能見研究室だけではなく、20名くらいのアマチュア無線家が参加してデータを収集しているという。

このアンテナでKUKAIが発する信号を受信する通信を始める前にKUKAIの説明を聞く来場者【動画】アンテナの方向と受信機の設定をすると、モールス信号が聞こえてきた
苧側(おがわ)正明氏(東芝ライテック株式会社)香川衛星開発プロジェクト

 香川ヒューマノイドロボット研究会でも無線免許を持っているメンバーが、自作アンテナで受信にチャレンジしているそうだ。ミッチー氏は、サイトを見てケーブルやコネクタまで含めて2,000円のアンテナを作成。自宅で2~3回試したが、衛星が通過するわずか10分の間にアンテナの方向と受信機をチューングして受信するのはなかなか難しいという。

 アマチュア無線は、インターネットの普及でコミュニケーションツールとしては下火になってしまったが、宇宙ロボットの声を聞くことができるのは新しいロマンという感じでうらやましい。

スプリング ファイト in RoboCountry IV

 香川ヒューマノイドロボット研究会による「スプリング ファイト in RoboCountry IV」には、四国や関西地区から18体の二足歩行ロボットが集まり、バトルやサッカー競技を子供たちに披露した。

 初日の午前中に、各ロボットが自己PRと予選を兼ねたボトル倒しゲームで得点を競った。この競技の順位で午後のバトルトーナメントの組み合わせを決定。バトルは3分間3ダウン制。参加ロボットは、かっこいい二足歩行ロボットや、ぬいぐるみのロボット、とことこ歩く8軸ロボットなどバラエティに富んだ。バトルには第15回ROBO-ONE大会の出場権を得ているレグホーン(NAKAYAN氏)やYOGOROZA(だうと氏)も出場。子供たちは、目の前で行なわれるバトルに興奮し、倒れても起き上がって試合を続けるロボットに大きな声援を送っていた。

熊工房は親子3人で参加ミッチー氏製作の可愛いぬいぐるみロボットも参加して、愛想を振りまいた予選は、水の入ったボトルを倒し得点を競った。ヒーホーハット(のむむ氏)は19点獲得

 トーナメント準決勝第1試合は、「YOGOROZA(だうと氏)」 と地元香川の強豪「震武(中川氏)」の対戦となった。だうと氏は「完成したばかりの新機体を実戦で動かして、ROBO-ONEに向けた調整にする」と、激しい戦いを挑んでいた。YOGOROZAはパンチ力をアップするために、肩をWサーボにした新設計になっている。その分、腕が重くなり、得意技の大きなパンチを繰り出すと肩にダメージが溜ってしまうのが欠点。試合の最中に、左腕が“脱臼”するトラブルが発生した。YOGOROZAは、1ダウンと引き換えにタイムを取り、ビニールテープでテーピングして試合を続行した。これで、勝負は震武が有利になったと思いきや、迂闊にも真正面から近づく震武をYOGOROZAが右パンチ一発で倒して決勝戦に駒を進めた。

 準決勝第2試合は、“強暴なニワトリ”と紹介された「レグホーン(NAKAYAN氏)」 VS マジシャンのような風貌の「ヒーホーハット(のむむ氏)」の対戦。のむむ氏は関西で活躍するロボットビルダーだが、最近はイベントのスタッフに回ることが多く、バトルに出場するのは久しぶりだ。ROBO-ONE GPでも活躍しているレグホーン相手にダウンを奪うなど善戦したが、一歩及ばなかった。

試合中にテープで応急処置をするだうと氏YOGOROZAはテーピングで試合を続行した【動画】準決勝第1試合 YOGOROZA(だうと氏)VS 震武(中川氏)
【動画】準決勝第2試合のレグホーン(NAKAYAN氏)VS ヒーホーハット(のむむ氏)。【動画】3位決定戦。震武 VS ヒーホーハット。接戦の末、震武のリセットスイッチをヒーホーハットが押すというマジックで勝利した

 決勝戦は、YOGOROZA VS レグホーンというROBO-ONE本戦さながらの豪華なカードとなった。YOGOROZAは、短い時間で肩を修理しての出場だ。ちなみに脱臼の原因は、肩のサーボとブラケットを止めるネジが4本全てゆるんで抜けたためだという。念のために左肩もチェックしたら、案の定ゆるんでいたそうだ。

 両者共に2日後に控えた第15回ROBO-ONE大会の調整を兼ねているだけに、気合が入ったバトルとなった。激しいパンチの応酬で両者同時にリングに倒れても、起き上がるのが早い! YOGOROZAの横パンチをかわしたレグホーンが、タイミングよくパンチを放って試合を決めた。まだまだ戦い足りない2人は、表彰式の間も仲良く場外乱闘をしていた。

【動画】決勝戦はYOGOROZA VS レグホーンの好カードとなった優勝して勝利のポーズをとるレグホーン
優勝したレグホーン(NAKAYAN氏)と準優勝のYOGOROZA(だうと氏)「スプリング ファイト in RoboCountry IV」 出場者

 競技の合間には、小型ロボットを子供たちに開放して操縦体験を行なったり、エキシビジョンのサッカーゲームをしたりと思う存分にロボットの楽しさを披露していた。

【動画】エキシビジョンのサッカーゲーム小型ロボットは子ども達の体験操縦で大人気香川ヒューマノイドロボット研究会メンバーがラジオ番組に生出演

ASIMOショー

 ヨンデンプラザ内では1日4回のASIMOショーが行なわれ、毎回、多くの親子連れが訪れた。ASIMOはいきなり走って登場。エコにまつわるクイズを出したり、子供たちとダンスやキックボーリングなどで楽しく遊んだ。

【動画】ASIMOが元気に走って登場した【動画】○×でクイズを出して子供たちと遊ぶ【動画】子ども達と一緒にダンスを披露した
ヨンデンプラザ・サンポート。外からもASIMOショーを見学ASIMOと記念撮影するスプリング ファイト in RoboCountry IVの出場者

 ヨンデンプラザ・サンポートのウィンドウを、窓ガラス清掃ロボット「wallwalk」が掃除するデモも行なわれた。「wallwalk」は愛・地球博にも出展されたロボットだ。サイズは約30cm角、6時間の充電で1時間稼働する。バキュームの力で吸着し、上下左右の四隅8カ所に搭載されているタッチセンサーで窓枠を検知して方向を変えながら移動する。

【動画】窓枠をタッチセンサーで検知すると、方向転換をして移動する【動画】バキュームで窓ガラスに吸着している様子を裏側から撮影【動画】カバーを外した状態のデモンストレーション
詫間電波工業高等専門学校のロボット工作教室。レゴを使用してオリジナルロボットを作成する本体に思い思いのパーツをつけてオリジナルなロボットが出来上がる完成したロボットを早速動かして競争を始める子ども達


(三月兎)

2009/5/8 21:02