石井英男のロボットキットレビュー
近藤科学「KHR-3HV」ハードウェア組み立て編(その2)

~ハードウェアの組み立てとサンプルモーションの実行
Reported by 石井英男

 前回に引き続いて、KHR-3HVの組み立て手順を紹介する。前回は、アームユニットの組み立てまでの作業を行なったが、今回はハードウェアの組み立てが完了するまでの作業と、ホームポジションの設定方法、サンプルモーションの実行までを紹介したい。

サイユニットとレッグユニットの組み立て

 次はサイユニットの組み立てだ。サイとはあまり聞き慣れない単語だが、thighと綴り、太腿を意味する。膝の上の部分だ。サイジョイントには、LとRの区別があるので、間違えないように注意しよう。左右のサイユニットを組み立てたら、膝下部分となるレッグユニットを組み立てる。サイユニットやレッグユニットなど、左右の区別があるユニットを組み立てたら、セロテープなどにLとRの文字を書いて貼りつけておくとわかりやすい。

サイユニットLの組み立てに必要なパーツサイジョイントは裏表の区別があり、丸い大きな穴から小さな穴に向かって線が入っているほうが表側(外側)になることに注意黄色のID7のサーボモーターのサーボケースビス3本と、黄色のID8のサーボモーターのサーボケースビス4本を外し、そのビスを利用して、2つのサーボモーターのボトム軸側にサイジョイントLを取り付ける。サーボモーターのIDを間違えないように
2-5低頭タッピングビスを使って、サーボモーターの出力軸側にサイジョイントRを取り付ける同様にして、サイユニットRも組み立てる。LとRの区別がつくように、セロテープなどにLとRの文字を書いて貼りつけておくとよいレッグユニットLの組み立てに必要なパーツ
ジョイントベース2500Aにボトムアーム2500Aをはめ込み、2.3-6BHタッピングビスを使って、レッグジョイントLを取り付ける同様にして、レッグジョイントRも取り付けるボトムアーム2500AとレッグジョイントLを2.6-10タッピングビスで固定する
黄色のID9のサーボモーターのサーボケースビスを3本外し、そのビスを利用して、レッグジョイントLにサーボモーターのボトム軸側を取り付け、出力軸側はレッグジョイントRに2-5低頭タッピングビスで取り付けるレッグジョイントBをM2-4低頭ビスで固定する同様にして、レッグユニットRも組み立てる

ソールとフロントカウルの組み立て

 引き続いてソールの組み立てを行なう。ソール自体は左右共通だが、その上に取り付けるフットアングルAとBには左右の区別があるので、注意しよう。フットアングルの固定は、M2-6BHビスとM2ナットで行なうが、ナットが緩みやすいので、ネジロック剤を使うことをお勧めする。ソールの次は、フロントカウルを組み立てる。ベースプレートにバッテリーホルダを取り付け、フロントカウルを固定するだけなので簡単だ。

ソールの組み立てに必要なパーツM2-6BHビスとM2ナットを利用して、ソールにフットアングルA-Rを取り付ける。ナットが緩みやすいので、ネジロック剤を使うとよい同様にして、もう一つのソールにフットアングルA-Lを取り付ける
同様にして、右のソールにフットアングルB-Rを、左のソールにフットアングルB-Lを取り付けるフロントカウルの組み立てに必要なパーツベースプレートAにバッテリーホルダAを2個、2-8低頭タッピングビスを使って取り付ける
フロントカウルを取り付け、2-5低頭タッピングビスで固定する

各ユニットの取り付け(上半身部分)

 これで、各ユニットの組み立ては一通り完了だ。これからは、これまで組み立てたユニット同士を組み合わせて、全身を組み立てる作業になる。まずは、胸ユニットに肩サーボアームや小径ホーンを組み合わせて、胴体部分を組み立てる。肩サーボアームを取り付ける際は、角度に注意しよう。

 続いて、腕ユニットを組み立てる。サーボモーターの出力軸にアッパーアームをはめ込む工程が何度も出てくるが、アッパーアームがサーボケースの長辺に対して平行になるようにはめ込むことが重要だ。両腕を胸ユニットに取り付けたら、ヘッドパーツを装着する。

胴体の組み立てに必要なパーツ胸ユニットの中央のサーボモーターの出力軸に小径ホーンを差し込む2-5低頭タッピングビスとM3-8低頭ホーン止めビスで、小径ホーンの上にヘッドベースAを固定する
赤色のID1のサーボモーターの出力軸に肩サーボアームの左側用を差し込み、M3-8低頭ホーン止めビスで固定する。肩サーボアームは、サーボベースのビスが十字になるように斜め45度回転させて取り付ける同様にして、青色のID1のサーボモーターの出力軸に肩サーボアームの右側用を差し込んで、M3-8低頭ホーン止めビスで固定する左腕の取り付けに必要なパーツ
赤色のID2(組立説明書 Ver.1.1ではID4となっているが、ID2が正しい)のサーボモーターの出力軸にアッパーアーム2500Aを差し込み、M3-8低頭ホーン止めビスで固定するアッパーアーム2500Aがサーボモーターの長辺と平行になるように差し込む赤色のID4のサーボモーターの出力軸にアッパーアーム2500Aを差し込み、M3-8低頭ホーン止めビスで固定する。このときも、アッパーアーム2500Aがサーボモーターの長辺と平行になるように取り付けること
胸ユニットの左肩のジョイントベース部分に左腕を差し込む。先にアッパーアーム2500Aの接続部分をベース部分にはめ込み、ボトム軸側に持ち上げるようにすると、はめやすいアームの接続部分を2.6-10BHタッピングビスで固定するアームユニットの左腕部分を腕の先端のジョイントベース部分に差し込んで、接続部分を2.6-10BHタッピングビスで固定する
ボトム軸側を2.6-6フラットヘッドビスで固定するもう一つのボトム軸側も2.6-6フラットヘッドビスで固定する同様にして、右腕を胸ユニットに取り付ける
頭の取り付けに必要なパーツ。頭部は、フェイス、バイザー、ヘルメットの3つのパーツから構成されているバイザー(左)には目の部分に穴が空いており、フェイス(右)の裏側にもLEDを取り付けられるようにガイドが設けられているので、フェイスに穴をあけるだけで、目としてLEDを搭載できるフェイスにバイザーを2-8低頭タッピングビスで取り付ける
ヘッドベースをフェイスとヘルメットで挟み込み、2-8低頭タッピングビスで取り付ける

各ユニットの取り付け(下半身部分)

 続いて、下半身部分の組み立てだ。サイユニットの上下にアッパーアームを取り付け、レッグユニットと合体させる。さらに、サーボブラケットを上下に装着して、そこにサーボモーターを取り付ける。最後にソールを取り付けて、腰ユニットと合体させれば、下半身部分は完成だ。

脚部分の組み立てに必要なパーツ(ただし、2.6-10BHタッピングビスはこの写真には写っていない)サイユニットLにアッパーアーム2500Aを2個取り付ける。アッパーアーム2500Aは、サーボモーターの長辺に平行にはめ込み、M3-8低頭ホーン止めビスで固定する同様にしてサイユニットRにも、アッパーアーム2500Aを取り付ける
レッグユニットLとRにも、アッパーアーム2500Aを取り付け、M3-8低頭ホーン止めビスで固定するレッグユニットRとサイユニットRをはめ込み、接続部分を2.6-10BHタッピングビスで固定する各アッパーアームに、以前組み立てたサーボアームをはめ込み、接続部分を2.6-10BHタッピングビスで固定する
上下のアッパーアームにサーボアームをはめ込んだら、ボトムアームを2.6-6フラットヘッドビスで固定する同様にして、左側も組み立てる脚部分を完成させるのに必要なパーツ
黄色のID6のサーボモーターの出力軸に小径ホーンをはめ込み、M3-8低頭ホーン止めビスで固定する。小径ホーンのとがった部分が、サーボモーターの銘板側の中央にくるようにはめこむ同様にして、黄色のID10、緑色のID6、ID10の出力軸に小径ホーンをはめ込み、M3-8低頭ホーン止めビスで固定する黄色のID6のサーボモーターのボトム軸側にフリーホーンを取り付け、2.6-6フラットヘッドビスで固定する
同様にして、黄色のID10、緑色のID6、ID10のボトム軸側にフリーホーンを取りつけ、2.6-6フラットヘッドビスで固定する。その後、サーボケースビスを2本ずつ外す脚の上下のサーボベース2500AにサーボブラケットAを、2-5低頭タッピングビスを利用して取り付ける。サーボブラケットAの向きに注意サーボブラケットAにサーボモーターを、サーボケースビスと2-5低頭タッピングビスで固定する
同様にして、他のサーボモーターもサーボブラケットAに取り付ける。サーボモーターの色とID番号を間違えないようにすることソールを脚に取り付ける。小径ホーンをM2-4低頭ビス、フリーホーンを2-5低頭タッピングビスで固定する。小径ホーンの突起の向きに注意同様にして、もう片方の脚にもソールを取り付ける
腰ユニットに脚を取り付け、2-5低頭タッピングビスで固定する腰ユニットに両脚を取り付けたところ

配線と配線のまとめを行なう

 今度は、サーボモーターのケーブルの配線と配線のまとめを行なう。従来のKHRシリーズでは、PWM方式のサーボモーターを利用していたため、サーボモーターとコントロールボードを1対1で接続する必要があり、サーボモーターを17個使うのなら、17本のケーブルをコントロールボードまで引き回して、17個のコネクタを接続する必要があった。そのため、配線の引き回しがなかなか面倒で、断線などのトラブルも起きやすかった。しかし、KHR-3HVでは、サーボモーターがシリアル方式になり、デイジーチェーンが可能になったので、コントロールボードに接続する配線の数が減り、配線の引き回しや配線のまとめが格段にやりやすくなったことは嬉しい。ケーブルの長さも、場所に応じて何種類か用意されているので、配線があまり余らず、初心者でも綺麗にできる。

 KHR-3HVでは、配線をまとめるために、2種類のケーブルガイドが使われている。ケーブルガイドは2種類とも、プラモデルのようにランナーに繋がった状態で箱に入っているので、ニッパーなどを使ってランナーを切り離す必要がある。

 配線の引き回しとまとめ方は、組立説明書に説明されているが、少し図がわかりにくいところもある。下の写真と組立説明書の写真を参考にしてほしい。なお、ケーブルガイドで配線をまとめても、肩の下など多少ケーブルに余りが出るが、余り部分はナイロンストラップでまとめるように説明されている。ナイロンストラップを使わなくても、それほど問題はなさそうだったので、筆者はナイロンストラップを使わなかったが、より外観をすっきりさせたいのなら、ナイロンストラップで配線の余りをまとめたほうがよいだろう。

 配線のまとめが完了したら、上半身と下半身を合体させれば、KHR-3HVの全身が姿を現す。

ケーブルガイドとケーブルガイド(小)は、ランナーに繋がった状態で箱に入っているニッパーなどを使って、ランナーを切り離す配線のまとめに必要なパーツ
上半身の配線には、ZH接続ケーブルA 200mmが2本とZH接続ケーブルB 300mmが2本必要左腕の配線の様子左の肘ピッチ軸のサーボモーター(赤色のID4)にZH接続ケーブルBを接続し、サーボコネクタのそばに赤色のSIO2のデカールを貼る
同様にして、右腕の配線も行なうケーブルガイドを肩部分のサーボアームに取り付け、ケーブルを2本通して、2-6皿タッピングビスで固定する肘の外側にケーブルガイド(小)を取り付け、ケーブルを2本通して、M2-4低頭ビスで固定する。同様にして、右腕の配線もまとめる
下半身の配線には、ZH接続ケーブルB 200mmが2本とZH接続ケーブルA 100mmが6本、ZH接続ケーブルA 50mmが2本、ZH接続ケーブルB 450mmが2本必要左脚の配線の様子同様にして、右脚の配線も行なう
左脚の外側のサーボアームにケーブルガイドを合計3個取り付け、ケーブルを2本通して、2-6皿タッピングビスで固定する同様にして、右足の配線もまとめる腰の部分にケーブルガイド(小)を4個取り付け、ケーブルを通して、2-5低頭タッピングビスで固定する
上半身と下半身をM2-4低頭ビスで固定し、配線のまとめが完了した状態。本当はこの後、ケーブルの余っている部分をナイロンストラップで束ねるのだが、このままでも問題はなさそうなので、ナイロンストラップは使わないことにした

バックパックを取り付け、コントロールボードへの配線を行なう

 次に、バックパックを組み立て、背中に装着する。バックパックの中にはコントロールボードのRCB-4HVが格納される。KHR-2HV/1HVの場合、バックパックはポリカーボネート製で不要な部分を自分で切り抜いて使う必要があったが、KHR-3HVでは、バックパックがABS製成型済みパーツになっているので、そうした手間は不要だ。さらに、コントロールボードへのアクセスも簡単にでき、PCと接続するためのポートも用意されているので、より使いやすくなっている。

 コントロールボードのRCB-4HVを取り付けたら、コントロールボードへの配線を行なう。SIOポートは全部で8個用意されているが、そのすべてにサーボモーターからのケーブルを接続する。SIO1~4とSIO5~8はそれぞれ同じ信号が出力されているので(出力としては2系統)、SIO1とSIO2を入れ替えて接続しても問題はないが、一応指定された箇所に接続するほうがいいだろう。コントロールボードへのサーボコネクタ接続時は、コネクタの向きに注意すること。サーボコネクタの場合は、灰色の線(信号線)が基板の内側にくるようにして、延長ケーブルの場合は、白色の線が基板の内側にくるようにする。

 コントロールボードへの配線が完了したら、バッテリのHVコネクタを接続し、バッテリをボディ内部に押し込む。フロントカウルをスライドさせてはめ込み、ボディピンを差し込んで固定すれば、ハードウェアの組み立ては一通り完了だ。

バックパックの取り付けに必要なパーツ。原点合わせで使用していたRCB-4HVは、いったんPCBベースから外す抜け止めBをPCBベースに2-5低頭タッピングビスで固定するPCBベースの左右の穴に赤色のSIO2と青色のSIO6のケーブルを通して、機体の背中部分にPCBベースをM2-6BHビスを使って取り付ける
トップパネルBに電源スイッチを差し込む延長ケーブルをポート入り口に差し込み、抜けないようにM2-6BHビスで固定するPCBベースの上部にトップパネルBを差し込む。次に、トップカバーBにウィングB-LとウィングB-Rをひっかけ、PCBベースに差し込んで、2-8低頭タッピングビスで固定する
コントロールボードの取り付けに必要なパーツHVコネクタをボディ内部に押し込むウィングを開けて、PCBベースとパーツマウントAの間にRCB-4HVを挟んで入れるようにして、2-8低頭タッピングビスで固定する
コントロールボードへの配線を行なうのに必要なパーツRCB-4HVの各ポートにサーボコネクタ、電源コネクタ、延長ケーブルを接続する。SIOポートにはサーボコネクタを接続するが、灰色の線(信号線)が基板の内側にくるように接続する。コネクタの向きを間違えないように気をつけようボードカバーを2-5低頭タッピングビスで固定する
バッテリのHVコネクタを接続するバッテリを胴体内部に押し込むフロントカウルをスライドさせてはめ込む
フロントカウルを固定するためにボディピンを差し込む組み立てが完了したKHR-3HV。続いて、トリムポジションの確認とホームポジションの設定を行なう背面側から見た様子

ホームポジションを調整して、サンプルモーションを動かす

 一般的な二足歩行ロボットの場合、ハードウェアの組み立てが完了しても、即サンプルモーションを動かすことはできない。サンプルモーションを動かす前に、モーションの基準となるホームポジションの調整が必要になる。KHR-3HVでは、トリムポジションとホームポジションという2つの基本ポジションがあるが、トリムポジションとは、トリムデータが0、ポジションデータが7500(中心)のときのポジションであり、サーボモーターが原点にある状態である。それに対し、ホームポジションとは、サンプルモーションが正確に動くための、ロボットの基本姿勢を指している。手順としては、まずトリムポジションを確認し(トリムポジションは大きくずれてさえいなければいいので、調整は不要)、次にホームポジションのデータを読み込み、微調整をすることになる。

 サーボモーターの出力軸とサーボアームのセレーション(ギザギザの部分)をあわせて、サーボアームを出力軸にはめ込むわけだが、KHR-2HVに使われていたKRS-788HVでは、サーボアームがぴったりサーボケースの長辺と平行にならないことが多く、組み立てただけでは、ホームポジションが多少ずれてしまうが、KHR-3HVのKRS-2552HVは、多くの場合、サーボアームがサーボケースの長辺に対してぴったり平行な状態になるので、ホームポジションのずれも少ない。筆者が組み立てた機体では、ホームポジションの調整を一切しなくても、ほぼ正しいホームポジションになっていた。

 特に重要なのは、足裏の位置あわせだ。KHR-3HVなら、とりあえず組み立てた状態でも、サンプルモーションはそのまま動きそうだが、前進歩行が曲がったり、不安定なモーションがある場合は、もう一度しっかりとホームポジションの調整を行うとよいだろう。なお、フレームにはニュートラルゲージと呼ばれる穴があいており、この穴とサーボアームの突起を合わせることで、ホームポジションが大体合うようになっている。

 ホームポジションの調整が終わったら、付属CD-ROMに含まれているサンプルモーションを実行してみよう。付属CD-ROMには、約30種類のサンプルモーションが収録されており、前進歩行や後退歩行、サイドステップ、旋回、起き上がりといった基本モーションだけでなく、挨拶やウサギ跳び、片足屈伸、キックモーションなどのユニークなモーションも用意されている。ウサギ跳びや片足屈伸などは、KHR-3HVの高い運動性能を示すには、絶好のモーションだ。キックモーションも充実しているので、サンプルモーションだけでも、KONDO CUPなどのロボットサッカー大会に出場できるだろう。

 また、歩行モーションの完成度も高く、標準歩行でもかなり安定した歩行が可能だ。初心者が、一から歩行モーションを作るのは大変な作業だが、サンプルモーションをベースに高速化や歩幅を広げるなどの修正を行なっていけば、より高速な歩行も実現できるだろう。

 KHR-3HVは、やはり3世代目ということもあり、二足歩行ロボットとしての完成度や潜在能力は、従来のKHR-2HVに比べて格段に向上していると感じた。組み立て作業も、ネジの本数は多いが、一つ一つの工程は決して難しくなく、ハサミやカッターでボディカバーの無駄な部分を切断するといった面倒な作業も不要になったので、初めて二足歩行ロボットを組み立てるという人にもお勧めできる。

 ただし、KHR-3HV(RCB-4HV)用のモーション作成ソフト「HeartToHeart4」は、KHR-2HV(RCB-3J/3HV)用のモーション作成ソフト「HeartToHeart3」とは操作方法や考え方がかなり違っているので、HeartToHeart3に慣れている人も、最初はやや戸惑うかもしれない(また、現時点のバージョンでは、HeartToHeart3にはあったが、HeartToHeart4には用意されていない機能もある)。そこで次回は、HeartToHeart4を使ってオリジナルモーションを作成する方法を詳しく解説したい。

シリアルUSBアダプタHSからのケーブルをバックパック上部のポート入り口に接続するHeartToHeart4を起動して、原点設定の際に作成した「ニュートラル設定」プロジェクトを開く。次に、通信ポート番号を指定し「プロジェクトの設定」を選択して、「RAM」ボタンをクリックするとトリムポジションへ動きだす。この写真のようになればOKだまず、ニュートラル設定のプロジェクト設定ウィンドウを閉じる
「ファイル」→「新規作成」→「プロジェクト」の順でクリックし、新規プロジェクト名を「ホームポジション設定」にし、プロジェクトのインポートボタンをクリックするインポート先として「Program Files\HeartToHeart4\Projects\ホームポジション設定」を選び、「OK」をクリックする「プロジェクトの設定」をクリックして、プロジェクト設定画面を開き、「RAM」ボタンをクリックすると、KHR-3HVがホームポジションへと動き出す。サーボモーターを選択して、Syncボタンをクリックし、トリムのスライドバーでホームポジションを調整する
ホームポジションの調整が完了したら、「ROMへ保存」→「全て保存」をクリックし、KHR-3HVにホームポジションデータを登録する確認のダイアログが表示されるので、「はい」をクリックするメインウィンドウの「プロジェクトを保存」をクリックし、PCにデータを保存する
ホームポジションを正しく合わせた状態。筆者が組み立てた機体では、最初に原点設定をきちんと行なっておけば、ホームポジションはほとんど調整する必要がなかったホームポジションをあわせた状態を横からみたところ。サーボの出力軸が縦に一直線に並んでいれば合格足裏の位置あわせは非常に重要。左右が揃っていないと、歩行が安定しない
各フレームには、ニュートラルゲージと呼ばれるマーク(穴)が空いており、このマークとアームの突起部分をあわせれば、ホームポジションが大体合うようになっている付属CD-ROMのプロジェクトには、約30種類のサンプルモーションが入っているサンプルモーションの一つ「挨拶」
サンプルモーションの一つ「手を振る」。単に手を振るだけでなく、頭や腰も動かしているのはなかなか芸が細かいサンプルモーションの一つ「エイエイオー」サンプルモーションとして2種類の歩行が用意されているが、こちらは安定性を重視した速度が遅めの「安全歩行」の前進モーション
こちらは「標準歩行」の前進モーション。安全歩行に比べてかなり速くなっている「標準歩行」の右サイドステップモーションサンプルモーションの一つ「左高速旋回」
サンプルモーションの一つ「仰向けからの起き上がり」サンプルモーションの一つ「うつ伏せからの起き上がり」サンプルモーションの一つ「ウサギ跳びB」。ちゃんと空中に浮いて、ウサギ跳びをしている
サンプルモーションの一つ「片足屈伸」。片足屈伸には、大きなトルクが必要になるが、KHR-3HVなら楽にこなしている片足屈伸を横から見たところ。なかなか見事な片足屈伸だサンプルモーションの一つ「ボールを前に蹴る」。左脚で蹴るモーションや横や後ろに蹴るモーションも用意されている


2009/8/11 19:32