ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「地球連邦軍 試作型戦術支援メカ Gファイター」(その2)

輸送機、戦闘機から戦車まで、ガンダムとGメカの「運用」を体験する

Reported by 野本憲一

 このコーナーは「ロボットのプラモデル」を組み立てて、その姿やギミックを中心に紹介していく。作り方は、塗装などをせず、あえてキットのまま組み立てていく“素組(すぐみ)”に限定。ここでは模型としての仕上がりを高めるよりも、キットを手早く楽しむことを優先させるのだ。

 最近のキットは、成型色(パーツの素材色)だけでもかなり色分けされていて、無塗装でも見栄えのする姿に仕上がるものも多い。また、塗装の剥がれを気にせずに動かして遊ぶこともできるのもメリットだ。購入した模型を貯め込まずドンドン組むためにも、レッツ素組!


 以前、バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」で、最新の「ガンプラ」がどのようになっているかを紹介したが、その「ガンダム Ver.2.0」対応として1月に発売されたのが、前回製作した「Gファイター」。「ガンダム Ver.2.0」は、元々この「Gファイター」との組み合わせを前提に設計されており、これを組み合わせてこそ、その真価が発揮されるといってもいい。

 「Gファイター」は「Aパーツ、Bパーツ」のGパーツで構成される飛行機で、「Gメカ」の一形態。前回は「Gファイター」として完成させたが、このキットはガンダムと組み合わせることで、「Gアーマー」「Gブル」「Gスカイ」といった姿にも形を変える。今回はそれら「Gメカ」の各形態を再現していこう。

パッケージ
バンダイホビー事業部 1/100スケール マスターグレードモデル「地球連邦軍 試作型戦術支援メカ Gファイター ガンダム Ver.2.0用 V作戦モデル」。ガンダムと支援するために開発された合体メカ。価格は5,880円
Gファイター
前回完成したGファイター。戦闘機としてガンダムの戦闘を支援。また、上面にガンダムを搭載し空中戦闘をする
A、Bパーツ
Gファイターを構成するA、Bパーツ。それぞれ個別に運用できる

続:Gファイター

 前回はキャタピラ部を完全に収納した状態で組み上げた。Gファイターには他にもキャタピラを半収納させたり、下部に完全展開させる形態もある。このキットではそれらも再現できる。

動力炉パーツ
キャタピラ半収納時を再現する前に、Bパーツの収納部に納める動力炉パーツを作る。これはキット独自のデザインで内部からの支えになる。収納されれば隠れるのだが、パーツ点数は多い
動力炉+コアファイター接続パーツ
組み上げた動力炉パーツ。前方にあるのは、前方にコアファイターをつなぐ際のスペーサーブロック。Gファイターでもこのまま使用する
ジョイント+Bパーツ
Gファイター、キャタピラ半収納への組み替え。まずBパーツ先端にジョイントパーツを立て、そのまま内側に倒す。収納部ドアも内側に入れる
ジョイント収納
ジョイントを内部上面に密着させる。またドアも内壁にピタリと密着させて納める
動力炉収納
収納部に動力炉ユニットを納める。さらにAパーツのキャタピラユニットを重ねる
キャタピラユニット装着
動力炉下にキャタピラを重ねると、半収納の位置で固定される
A、Bパーツ結合
その状態からAパーツとBパーツを接合する。Aパーツ底面とほぼ同じ位置からアームが延びる
キャタピラ半収納裏面
キャタピラが半収納の状態で完成したGファイター
キャタピラ半収納側面
同じく側面から。低いスタイルで接地されている
キャタピラ完全展開
こちらはキャタピラが下に露出した形態。続いてこの姿にしてみよう
Bパーツに動力炉収納
Bパーツはジョイント、動力炉パーツを取り付けるが、ジョイントは根元で倒さず、動力炉の中に通った状態にする
ジョイント曲げ、ドア閉じ
ジョイントをBパーツ底面に揃うように折り曲げ、そこに重ねるようにドアを閉じる
ドア閉じ
完全にドアを閉じて底面が平らになった状態。尚、「Gスカイイージー」にする場合もBパーツを同様の状態にする
Aパーツ接続+キャタピラ部取り付け
A、Bパーツを結合させ、キャタピラ部は下から重ねるようにする。ジョイント部とキャタピラ部の四角軸で固定される
Gファイター完成
着艦姿勢のGファイターとしてはこちらの方がスタンダードだろう。このようにキャタピラの収納状態の違いまでも、こだわって再現している

Gアーマー

 Gファイターが前後に分離し、ガンダムを収納した姿が「Gアーマー」。ここからは「Gファイター」のキットに加え、「ガンダムVer.2.0」を使い、各形態を再現する

ガンダムとGパーツ
Gアーマーになるために必要なパーツ。ガンダム本体とGメカのA,Bパーツ。それとジョイント。シールドはガンダムとGファイターに1枚ずつ付属している
付属シールド比較
先にシールドについて説明。左がガンダム付属のシールド。右がGファイター付属。グレーの部品の下に突起があるのが違い。二枚重ねの時に下になる
シールドパーツ
ガンダム単体に時のシールド二枚重ねも再現できる。下側シールドは「+」パーツを外し、グレーのピンを長い向き変更。上側はグリップを外し、ピンパーツを抜く
シールド二枚重ね
シールドは密着させて重ねられる。外したグリップは裏面の突起に固定しておく
ガンダム背面
ここからGアーマーへの合体に入る。上半身をAパーツに納めるため、サーベルを直立させ、肩関節部が露出するようにを左右に少しひらく
Aパーツへ上半身を入れる
その状態でAパーツの後ろに上半身を差し込む。サーベルは下の小さな穴に収まる
上半身収納
Aパーツに上半身が収まったところ
肩関節との結合
固定の様子が分かるように腕を外した状態。Aパーツ後端の「コ」パーツが、肩関節を加えるようになっている
股間、ジョイント追加
続いてBパーツと下半身の固定。股下にジョイントパーツを「L」字にまげ取り付ける
ツマ先、カカト曲げ
ツマ先、カカトを「く」に曲げる
Bパーツ補助エンジン回転
Bパーツは補助エンジンを後方に回転、ドアを開いておく
下半身収納
ガンダム下半身をツマ先側から収納する
ジョイント+Bパーツ結合
股に付けたジョイントの先端を、Bパーツ先端に差し込み、固定する
機体裏面
ジョイントが固定されたらドアを閉める。このあとガンダムのランドセル、腰、ジョイント部の四角い穴にキャタピラ部が固定される
キャタピラアーム結合
キャタピラのスライドアームを伸ばし、各四角軸の位置を合わせ取り付ける。これがAパーツ、ガンダム、Bパーツを背骨のように支える
シールド保持アーム
Bパーツの側面からシールドを保持するアームを展開する。これを開いた凹みに、ガンダムの手首が少し入り込むことで、より収まりの良い形にもなる
左シールド保持
シールドのグリップを、ブルーのパーツのミゾにはめることで、腕やシールドが下がったりせずに固定できる
右側、ライフル保持
シールドの保持をアームに任せ、ライフルを手で握る。ライフルのフォアグリップもアームとの隙間に上手く収まる
Gアーマー完成
完成したGアーマー。補助エンジンが後ろに移動し、そのスペースに腕やライフルが位置しているのが分かる
Gアーマー後面
全長が延び、輸送機のようなスタイルになっている
Gアーマー底面
下から見ると結合されている様子や、シールドの支え方がよく分かる
Gアーマー飛行
側面からはシールドに覆われ、ガンダムの姿は見えない。写真は別売の「アクションスタンド1」と組み合わせた状態

Gブル/Gブルイージー

 GブルはAパーツとガンダム上半身を組み合わせた戦車形態。コアファイターを付けた状態と、コアファイター無しの「Gブルイージー」がある。

Aパーツ+上半身
Gブルで使うパーツ。ガンダム上半身と武装、Aパーツ。コアブロック下のユニットはキット独自解釈のパーツ
キャタピラ接続
Gアーマーと同様の要領でAパーツと上半身を結合したあと、キャタピラ部を前側に寄せ、ランドセルに小さな四角軸を差し込む
Gブルイージー
シールド、ライフルを装備して、Gブルイージーの完成。Aパーツ先端が前方になる
Gブルイージー後面
Gブルイージーはコアブロックの無い状態。後ろから見るとその空間がすっぽり空いている
コアブロック+カバーパーツ
コアブロックを取り付け、Gブルにする。コアブロックは機首を伸ばした状態に。右のパーツはその機首側を差し込む
コアブロック収納
コアブロックを取り付けた状態。コクピットが露出し。ガンダムの胸中央も少し開いた状態になる。
Gブル完成
ビーム砲をAパーツ後方に回転させて、Gブルの完成。今度はこちらが前方になり、ビーム砲とライフルが使える
Gブル後面
GブルではAパーツ機首側が後ろという扱い

Gスカイ/Gスカイイージー

 GスカイはBパーツとコアファイターを接続した飛行機形態。ガンダム下半身を間に挟むのがGスカイ、挟まないのがGスカイイージー。

Gスカイ パーツ
Gスカイに必要なパーツ。ガンダムの下半身、Bパーツ、コアファイター、さらにジョイントとコアファイター後部のスペーサーブロックを使う
Bパーツ+下半身収納
Bパーツにガンダム下半身を収納する。この手順はGアーマーの時と同様。補助エンジンはこのままの向き
コアファイター接続
下半身にコアファイターを接続する。アニメ設定では直接取り付けるのだが、キットではスペーサーブロックを設けている
Gスカイ完成
完成したGスカイ。コアファイターとガンダムの腰まわりのボリュームの差を中間パーツが埋めている
Gスカイ正面
前方からは機体幅の変化がよく分かる
Gスカイ側面
幅だけでなく、後ろに向けての厚みの変化も大きい。Bパーツ下面はGファイター同様の車輪やスタンド用ジョイントが取り付けられる
Gスカイイージー パーツ
Gスカイイージーのアニメ設定ではBパーツにそのままコアファイターを接続するが、キットではスペーサーパーツ、動力炉パーツを使う
Gスカイイージー裏面
動力炉パーツの取り付けはキャタピラを出したGファイターの時と同様。前方にスペーサーパーツとコアファイターを取り付ける
Gスカイイージー完成
完成したGスカイイージー。劇中ではこの上にガンダムを積載する場面もあった。コアファイターがもう一機あればそれも再現できる
Bパーツ+コアファイター
試しにスペーサーパーツ無しでコアファイターとつなげてみた(固定はできない)。ボリューム差がハッキリと分かる

ガンダム+Bパーツ

 劇中でイレギュラー的に使用された形態。ガンダム本体とBパーツを組み合わせて、機動性を上げることでモビルアーマーに対抗した。

ガンダム+Bパーツ
ガンダムとBパーツ、ジョイントを使う。Gアーマーとは逆向きで下半身をBパーツに納めることになる
股間ジョイント接続
ガンダム股下にジョイントを接続する。Bパーツ先端にはめる部分が後ろにくる
下半身収納
ツマ先をたたみ、Bパーツに下半身を納める。ジョイントとBパーツの取り付けはGアーマーの時と同様
ガンダム+Bパーツ
Bパーツのドアを閉じて完成。この形態は宇宙空間のみで使用される
飛翔ポーズ
Bパーツにスタンドを取り付け、ライフルを構えたポーズ。
背面

 これまでガンダムVer.2.0からGファイターまで、計4回にわたり紹介してきた。関節可動や各パーツとの合体ギミック、それら遊び的要素を、細部の再現や外観を損なうことなく高い密度で盛り込んだキットといえるだろう。

 尚、6月には両キットがセットになった1/100 MG「Gアーマー リアルタイプカラー」の発売が予定されている。これはミリタリー色の強いカラーリングとなるキットで、今回のモデルとはまた違った趣があるキットになりそうだ。

(C)創通・サンライズ


野本憲一(のもと けんいち)
職業:プロモデラー。1967年新潟市生まれ。プラモデルやトイ、ガレージキット等の原型製作に携わると共に、模型専門誌ライターとしても活動すること20余年。著書に模型製作テクニックをまとめた「NOMOKEN(野本憲一モデリング研究所)」(ホビージャパン)がある。




2009/6/5 00:00