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巨大な機械の「クモ」2体が横浜市街をパレード!
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【 2009/04/17 】
第15回総合福祉展「バリアフリー2009」レポート
~ロボットスーツ「HAL」や本田技研工業の歩行アシストも体験できる
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「第12回 ロボットグランプリ」レポート【大道芸コンテスト編】
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北九州市立大学が「手術用鉗子ロボット」開発
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【 2009/04/14 】
大盛況の「とよたこうせんCUP」レポート
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「国際フロンティア産業メッセ2008」レポート


神戸国際展示場で開催
 10月8日(水)~9日(木)の2日間にわたり、神戸国際展示場において「国際フロンティア産業メッセ2008」が開催された。主催は兵庫県、神戸市、経済団体などによる。今年は約230の企業および団体から新技術の展示があった。本稿では、NIROや神戸RT研究会を中心としたロボット関連技術をレポートする。


IRSの仕事人ロボットUMRSシリーズ

 IRS(国際レスキューシステム研究機構)は、レスキューロボット「UMRS-2007(Utility Mobile Robot for Search)」を紹介した。「UMRS-2007」は、経済産業省の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が進める戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクトの被災建造物内移動RTシステム「閉鎖空間内高速探査群ロボット」として開発された。

 これは、地下街のような一般の人が集まる閉鎖空間で災害が発生した場合に、現場の被害状況を消防隊員に知らせるために開発されたロボット群だ。ロボットが建物内で傷病者を探索する場合、ロボット自身がドアを開けて室内を確認する機能が必要となる。また、多数の被害者がいる場合、最善の救命活動を行なうために、傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定しなくてはならない。このように要救助者の探索と同時に特定の任務をこなすロボットを「仕事人ロボット」と呼んでいるという。

 「UMRS-2007」シリーズはユニット構造になっており、駆動ユニットを共通化し上部ユニットを各業務に応じて開発する。ユニット化により開発コストの軽減と、メンテナンス効率のアップが期待できる。駆動ユニットは前後にカメラと、被災者検知のためのCO2センサーや会話のためのマイクとスピーカーを搭載している。ロボットは自律動作および遠隔操縦で移動し、オペレーターはロボット操縦操作卓により遠隔地から操縦する。

 「UMRS-2007 DOOR」の上部ユニットには、上下左右にコントロール可能なカメラを搭載し、周囲の状況を映像でオペレーターに示しながら探索を行なう。また、ドアを開けて室内の探索をするためにアームを持つ。アームを伸ばして、丸いドアノブやハンドルタイプのドアを把持して開けることができる。

 「UMRS-2007 TRIAGE」は、傷病者を発見した際に治療の優先度を示すマーカを配置し、後続のレスキュー隊員に知らせる役目をする。傷病者の様子をCO2センサーの値や、マイクの応答でオペレータが判断し、上部ユニットに積んであるマーカを落とす。そしてロボットからの指示で、マーカのLEDを緑・黄・赤・黒に光らせて情報を伝える。

 遠隔操縦ロボット群の実用化には、さまざまな技術課題が残されているという。今回展示されたロボット以外にも、ロボットの位置を把握するナビゲーションシステム搭載型ロボットや、あらかじめ地図がない場所でも活動できるよう、ロボットの移動に合わせて周囲を3次元で計測してマップを作成する技術などの研究開発を進めているという。


「UMRS-2007 DOOR」は、室内の探索をするためにドアを開けることができる 「UMRS-2007 TRIAGE」は、災害現場で要救助者を発見し、傷病者を重症度と緊急性によって分別しマーカを遠隔操縦で落とす 「UMRS-2007 DOOR」と「UMRS-2007 TRIAGE」は、ユニット構造になっており下部パーツは共通

「UMRS-2007 DOOR」がアームを畳んだ状態 【動画】ノブの高さまで伸びて、左右の位置調整をし、ノブを掴んで捻る動作をする 【動画】「UMRS-2007 DOOR」のマニピュレータが駆動する様子

「UMRS-2007 TRIAGE」のマーカー内部構造。ロボットと通信してLEDの光で情報を伝達する 遠隔操縦ロボットには、さまざまな技術課題が残されているという 【動画】災害時に避難する人々を避けつつ現場へ急行する、障害物回避実験の様子

オペレータは、ロボット操縦操作卓により遠隔地から操縦する 閉鎖空間内高速走行探査群ロボットの技術成果イメージ。災害時に現場へロボットが探査のために行く。オペレータは遠隔地からロボットを操縦して情報を収集し、救助活動のサポートをする より広い範囲を探索するために、災害現場で有線と無線で網の目状のネットワークを構築することが必要となる

 神戸RT研究会のブースには、会員企業のロボットが展示されていた。有限会社ピノキオが、平成19年度兵庫県COEプログラム推進事業により開発中の「関節駆動型マネキン」を公開した。

 神戸市はロボット開発により、地域経済の活性化とロボット技術に伴う「夢」の創出を目指す「神戸RT(ロボットテクノロジー)構想」を推進している。ファッション産業が盛んな地域である神戸の産業振興を目的として、産官学共同でRTを搭載した「関節駆動型マネキン」の開発に着手したという。

 洋服をステキに見せるために女性らしいスタイルにこだわり、足首をはじめ各関節を細くし、腰高のスリムなボディを実現している。サイズは身長160cm、体重30kg。自由度は片腕3軸×2、肩2軸、腰2軸、片脚4軸×2の計18軸。フレームにはアルミのL字材を使用している。足首を細くするために、斜めに組み合わせた独自のリンク機構を採用。右足を床に固定し左足裏のキャスターを転がすことで、ファッションモデルがポーズをとる時のスムーズなモーションを再現している。

 従来のマネキンでは、表現できない「動いた時の洋服のラインや美しさ」を展示できるのが強み。大型商業施設のショーウィンドウで、動くマネキンとしての活用を考えているという。

 ロボットのモーションは専用ソフトで任意に作成でき、SDカードに動作データを保存すればPCレスで再現できる。また、携帯電話のテンキーで操作が可能なため、来店者が自分の好きなポーズを指定することもできる。


【動画】関節駆動型マネキン。右足を固定し、左足の動きと上半身でモデルのポーズを再現している 後姿。独自の機構設計で女性らしいスリムなボディを実現している 関節駆動型マネキンの外装CG

 株式会社エスケイパンは、イベント用ロボット「HASIMOTO3」のお披露目をした。

 「HASIMOTO3」の名前は、HAppyでSIMpleなOTOmodachi(お友達)という意味だという。口をぱくぱくさせながら、目をくりくりと動かす表情豊かなロボットだ。音声再生も可能で、イベントで子ども達と遊ぶために開発したという。安全性確保のため、腕の上下運動は肩サーボにつけた重りを動かして実現している。そのため、稼働中にロボットの腕を触っても、自然にぶらぶらするだけなので怪我の心配がない。サーボは表情を変えるために両目と口で3軸、首に3軸、肩と肘に各1軸、車輪に2軸搭載している。今後、エスケイパンが運営するイベントで活躍する他、レンタルも行なっていくという。

 同社は近日に発売開始予定の学習用ロボット虫型ロボット「ゴジックM2(ムイムイ)」も展示していた。最大5つのAD入力を備えたコントロールボード「Gogic Basic」で、複数のセンサーを活用したプログラムの学習が目的の入門者向けキットだ。


【動画】株式会社エスケイパンの新ロボット「HASIMOTO3」。身長100cm、体重は約5kg、車輪走行型 【動画】「HASIMOTO3」の動いている手に触っても、脱力してブラブラするので安全 【動画】表情を豊かに変えて、子ども達とコミュニケーションを取る。音声出力も可能

エスケイパンの「ゴジックM2(ムイムイ)」。2軸の昆虫型ロボット。近日発売を開始する エスケイパンの教材用ロボット「ゴジック」シリーズ 有限会社ピノキオの壁面吸着移動方式外壁目地・クラック等のコーキングロボット

明興産業株式会社の男性用便器清掃ロボット「DCBA(ダスベエ)」。高圧洗浄システムで少量の水で効率よく清掃を行なう 同じく明興産業株式会社の「レール軌道型移動ロボット」。住宅の床下や天井裏などの閉鎖空間を監視・検査する。サイズは387×258×200mm、重量は5.6kg 【動画】HAJIME ROBOT 36号機。歩行のデモンストレーション

【動画】HAJIME ROBOT 18号機。自律でボールを探索しキックするデモンストレーション 株式会社システムワットのROBOCUBEで構成した車輪型ロボット ROBOCUBE操作画面。インターネットを使い、ブラウザから操縦できる

 ビー・エル・オートテックはプレゼンステージで、水底清掃ロボット「スーパーマルチ」の紹介と、同社が開発した二足歩行ロボット「ロボッチII」と学習教材用ロボット「VariBO」で構成されたロボット音楽隊の演奏を行なった。


ビー・エル・オートテックの水底清掃ロボット「スーパーマルチ」 【動画】ロボット音楽隊が、オリジナルソング「未来へのかけはし」を演奏した AMPIロボット研究会の小型ユニバーサルロボットハンド。指先にビー・エル・オートテックの力覚センサーを搭載

 NIRO(財団法人 新産業創造研究機構)のブースには、リハビリ支援ロボットとして下肢麻痺患者の歩行訓練用に、エネルギー消費が少なく長時間連続使用が可能な、MR流体(Magneto-Rheological Fluid)ブレーキを応用した下肢支援ロボットが展示されていた。

 また、マイクロストーン株式会社が開発したロボット用超小型6軸モーションセンサーを搭載したカード型センサーモジュールも展示。12.5×40×2.5mm(幅×奥行き×高さ)と小型で、無線でデータを送信できるため、ゴルフクラブのヘッドにつけてスウィングをチェックするなどの用途にも使えるという。


橋本義肢制作株式会社の「MR流体ブレーキを応用した下肢支援ロボット」。フットスイッチにより歩行周期を自動認識する ロボット用超小型6軸モーションセンサーを搭載したセンサーモジュール 無線モーションレコーダを乗馬型健康マシーンに取り付け、センサーの値を後方のPCに転送するデモンストレーションを行なっていた

URL
  国際フロンティア産業メッセ2008
  http://www.kobemesse.com/

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神戸にて「国際フロンティア産業メッセ2007」開催(2007/10/02)
神戸・国際フロンティア産業メッセ2006レポート(2006/10/11)


( 三月兎 )
2008/10/15 14:39

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