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~メカトロニクス・ロボット技術者の人材育成指標確立を目指す
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【 2009/04/17 】
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~ロボットスーツ「HAL」や本田技研工業の歩行アシストも体験できる
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「第12回 ロボットグランプリ」レポート【大道芸コンテスト編】
~自由な発想でつくられた、楽しい大道芸ロボットが集結!
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【 2009/04/14 】
大盛況の「とよたこうせんCUP」レポート
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二足歩行ロボットユーザー交流会「ロボゴング8」レポート
~フリーソフトを使った音声認識操縦も披露


 8月9日(土)、大阪産業創造館にて、二足歩行ロボットユーザー交流&練習会「ロボゴング8」が開催された。主催はロボットフォース。

 ロボゴングは、ホビーロボット初心者が気軽に集まり交流する場だ。ユーザーの裾野を広げるため2004年春に始まり、8回目を迎えた今回は、63体のロボットが集まりバトルトーナメントなどを楽しんだ。


参加ロボット記念撮影 岩気裕司氏(ロボットフォース代表) 大阪産業創造館

バトルトーナメント

 53体のロボットが参加したSRC(スタンダードレギュレーションクラス)で優勝したのはRL05 ASURA(製作者:みんなのやす氏)だった。

 決勝で戦ったRobovie-XSF(製作者:zeno氏)は、準決勝までスピードを活かして動き回り、相手の懐に素早く入り込みパンチを放って勝ち上がってきた。だが、zeno氏は初めて経験する決勝のプレッシャーで固くなり、開始早々にパンチを浴びて1ダウン取られた。続けてRL05 ASURAの発射体が命中して2ダウンと、次々にポイントを奪われた。Robovie-XSFらしさが全く発揮できないうちに、あっさりとRL05 ASURAが試合を決めた。

 1、2回戦の敗者がタッグを組むトーナメント“2×2バトル”は、Captain.PEKO(製作者:クロイチ氏)&春風(製作者:有紀ハル氏)のチームが優勝した。


【動画】SRC決勝戦。RL05 ASURA(製作者:みんなのやす、左)vsRobovie-XSF(製作:zeno氏、右) SRCで優勝したRL05 ASURA

SRC3位決定戦。ヴァイパー09(製作者:かろと氏、左)vsジローちゃん♪(製作者:motoぶちょう氏、右) 2×2バトル決勝戦。Captain.PEKO(製作者:クロイチ氏、左から2機目)&春風(製作者:有紀ハル氏、右から1機目)vsL5(製作者:クェール氏、右から2機目)&ねこ(製作者:ヴィー氏、左から1機目)

 ORC(オーバーレギュレーションクラス)の優勝は、仙人氏の案山子(スケアクローと読む)だ。決勝戦の相手は建御雷神(製作:ロボ研氏)で、大同工業大学ロボット研究部の対決となった。

 実は、案山子が完成したのは大会当日の朝だという。膝にトルクの大きなサーボを使い、足回りを強化したのが勝因と仙人氏はいう。今後はプログラムに力をいれ、自律競技へも参加したいという。


【動画】ORC決勝戦。案山子(製作:仙人氏、左)vs建御雷神(製作:ロボ研氏、右) ORC3位決定戦。アドバンス・ラゴウ(製作:トモロウ氏、左)vs RB2000SF(製作:zeno氏、右) 全員参加のORCランブル戦

小学生~大学生まで「学校対決ランブル」

 最近、増えたのが大学生や社会人のサークル参加だ。主催者の岩気氏に話を伺うと、「学生さんはシャイなのか、会場に来ても仲間内だけで遊んで帰っていくことが多い」という。そこで、前回から交流のきっかけになるようにと、学校対決ランブルを実施している。

 同じ学校に在籍するメンバーが、2~3体集まってチームを作れば参加できる。リングに上がるのは、その時調子の良いロボット2体だ。今回は、5つの学校から9チームの参加があり、3チーム6体のロボットで予選ランブルを行なった。決勝には、大阪産業大学テクノフリーク部、大同工業大学ロボット研究部、奈良育英学園 情報技術部のチームが進出した。

 優勝したのは、唯一、中高生の参加者である奈良育英学園 情報技術部だった。

 奈良育英学園は、ロボファイト1から出場している。情報技術部は、以前からロボットに興味のある生徒が、ライントレースなどに挑戦していたが、私学のため大会へ出場することができなかったそうだ。しかしロボファイトなら参加できるということで、当時の生徒が二足歩行ロボットをやりたいと言ったのが、出場したきっかけだという。

 同部は地元のプラネタリウム館に請われて、科学系イベントでロボットの展示やデモを年に2~3回行なっている。そこでロボットを見た小学生が「この学校で、ロボットをやりたい!」と入学してくるので、今は中学生を中心に13名の部員がいる。毎日放課後、先生から「もう帰れ~」と言われるまで、熱心にロボットの調整をしているそうだ。

 モータートラブルなどの時は、故障カ所を自分で突き止めた後、先生に報告して一緒に修理してもらうが、基本的には、生徒同士が互いに教え合い活動している。

 顧問の菊一先生の夢は、「生徒がORCで優勝するようなロボットを作り、ROBO-ONE決勝トーナメント認定権を獲得すること」だという。菊一先生は、子どもの理科離れを防ぐためには、興味を持った時にすぐ始められる環境が必要だと、人型ロボット塾を無料で開講している。対象は小学生で、週1回以上クラブ活動に参加できることが条件だ。今回も、ロボット塾の受講生である小学生が参加していた。


【動画】学校対決ランブル決勝戦 優勝した奈良育英学園 情報技術部 大同工業大学ロボット研究部。SRC優勝、ORC優勝、準優勝と活躍

大阪電気通信大学 自由工房 大阪産業大学テクノフリーク部&歩行ロボットプロジェクト 大阪工業大学機械工学研究部

ジオラマで記念撮影や、技術交流も盛ん

 会場中央には、バトル以外の交流も楽しめるように、記念撮影用ジオラマ「ロボットタウン」が用意された。夏休みということで、テーマは「盆踊り」。たこ焼きやおめんの屋台、盆踊りのやぐらのセットが組まれていた。

 参加者達は、トーナメントの合間にロボットを持ち寄り、思い思いのポーズで写真を撮影し楽しんでいた。今回は、ジオラマ写真コンテストも実施し、作品はロボットフォースで公開される予定。


夏祭りのジオラマ。記念撮影会 ロボファイトで人気のロボット達が、キャラクタおめんになった 盆踊りを踊るロボット達。どんどん数が増えていった

 ロボットの演技部門で、山口辰久氏が、フリーソフトの音声認識エンジン「Julius」を使用した音声制御のデモンストレーションを披露した。ロボットに「立ち上がれ」と命じると、うつぶせ寝から起き上がる。ロボットが「前へ3歩」や「左パンチ」「でんぐり返り」などの命令語に従って動くと、観客席から感心する声があがっていた。移動系のコマンドは、「前」や「右」といった方向+1~9の歩数で指示を出すことができる。

 Juliusは不特定話者に対応しているため、事前にオペレータの音声パターンを登録する必要がない。山口氏がデモをしているのを見て、うずうずした司会の岩気氏が途中で割り込んだり、観客から希望者を募って体験操縦も行なった。オペレータが「右へ3歩」と命令したのにロボットが5歩動いた時は、PC画面に「みぎ 5ほ」とテキストで表示され認識エラーを確認する一幕もあった。

 山口氏は、「PCがあればできるので、二足歩行ロボットの楽しみ方の1つとしてチャレンジしてほしい」と語った。


【動画】Wild Dog(製作:山口辰久氏)を音声で操縦するデモンストレーション 【動画】観客が音声操縦を体験。事前登録なしで不特定話者に対応していることがわかる オープンソース音声認識エンジン「Julius」を使用

 もうひとつ注目を集めていたロボットが、先月の姫路ロボチャレンジでデビューした「雛(製作者:mujaki氏)」だった。

 雛は、大阪のロボットビルダーの間でも話題になっており、今回のロボゴングは「雛を見るのを楽しみにしていた」という参加者も多かった。デビューから1カ月たった雛は、ボディを白く再塗装し、両手にアルミの武器を搭載していた。

 「雛」はmujaki氏が初めて作ったロボットだ。「サーボケースを自作すれば、アルミフレームを使わなくてもロボットができる」と思い、試行錯誤して作ってしまったという。KONDOのKRS-788を分解し、自作のサーボケースに2つのモータを直交軸で搭載している。省スペース設計を実現するために、基板はギリギリまでカットした上、1枚は2つ折りにしている。

 ギアをケースに合わせて1/4強にカットしたり、「ここまでやるか」という徹底した加工っぷりは初心者とは思えない。頭部に納めたコントロールボードは、受信機の基板、ジャイロ、加速度センサを直で固定してメンテナンス性をよくしたという。


【動画】雛(製作:mujaki氏)は、両手に武器を装着してバージョンアップ 顔もお化粧直しして、可愛さアップ 参加者に囲まれて、質問攻めにあうmujaki氏(中央)

mujaki氏が自作したサーボケース。2つのサーボを直行軸にしている ケースに収めるためギリギリまで基板をカット。その上、1枚は2つ折りにしている コントロールボードに受信機の基板、ジャイロ、加速度センサを直で固定した

 こうした超マニアックなユーザーがいる一方で、ほのぼのとしたロッポ大会で盛り上がったり、市販キットに紙外装をつけて楽しむライトなユーザーもいるのが、ロボゴングのいいところだ。

 岩気氏は、「気の合う仲間同士でロボットサークルを作って活動すると、楽しさが増えるし技術力もアップする。イベントが仲間と出会うきっかけになり、また、みんなで出場する目標になるといい」と語った。

 ロボットフォースは、8月23日(土)~24日(日)に大阪府岸和田市にある浪切ホールで開催される日本SF大会「DAICON7(ダイコン・セブン)」で、ロボット競技会を行なう。公開スペースのため入場料無料で観戦できる。


ボシュ(チーム名:(株)シーシェルコーポレーション)。会場で紙を切って外装を作るところに初出場の意気込みを感じた NIKILA(製作者:ナッキーィ氏)は金色Robovie-X。キットロボットも、カラーリングで雰囲気がガラリと変わる ロボットの調整をする人、情報交換をする人。和やかな雰囲気の中でみんな楽しんでいた

観戦者も当日に参加申し込みが可能なロッポ大会 ロッポ大会出場者 ロボゴング8入賞者達

URL
  ロボットフォース
  http://www.robot-force.jp/

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( 三月兎 )
2008/08/18 16:34

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