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【 2009/04/17 】
月刊ROBOTウォッチング
~心機一転、MANOI企画設立!
[12:03]
【 2009/04/15 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」(その2)
[14:24]
【 2009/04/09 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/100スケール MG「RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」(その1)
[15:40]
【 2009/04/06 】
世界最小級の二足歩行ロボット「ROBO-Q」レビュー
~全高3.4cmの超小型ロボットが自律動作する!
[14:09]
【 2009/04/03 】
石井英男のロボットキットレビュー
ヴイストン「Beauto Balancer」
~倒立振子制御を手軽に学べる工作キット
[12:59]
【 2009/03/27 】
通りすがりのロボットウォッチャー
男の憧れか? 女性型ロボット
[01:19]
【 2009/03/24 】
「新型ASIMO」のフィギュアが登場!
~フィギュアで実感、ASIMOの進化~
[02:00]
【 2009/03/18 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その3)
[14:28]
【 2009/03/11 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その2)
[00:05]
【 2009/03/06 】
月刊ROBOTウォッチング
~2月はエンタメ路線を爆走!?
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【 2009/03/04 】
ノモケンの「素組でロボット」
バンダイ 1/72スケール「VF-25F メサイアバルキリー アルト機」(その1)
[13:05]
【 2009/02/27 】
通りすがりのロボットウォッチャー
脳とロボットを直接つなぐBMI
[00:10]

2008年のロボットシーン総括

Reported by 森山和道

 今年、世界は金融不安に見舞われた。既に2007年末から景気の下り坂傾向は見えていたが、今秋に起きたリーマンブラザーズ破綻を機に、先進国、新興国問わず、世界中で急落した。自動車の新車販売台数は激減。社団法人日本工作機械工業会が発表した11月の工作機械受注額は前年同月比62.2%減の516億2,000万円となった(速報値)。産業用ロボットの需要を支える設備投資や、ロボットベンチャーへの出資にも大きな影響を与えるだろう。経済不安定の影響はロボット技術の進展とは関係なく来年以降も続きそうだ。産業用ロボット業界は工作機械等だけではなく、食品関連など新領域への進出を試みている。

 今年11月にはMITのミッチェル・レズニック教授がコンセプトを考案したレゴマインドストームの価格が原材料価格高騰などの影響を受けて値上げされるということもあった。さらなる値上げもあり得そうだ。世界全体の状況とロボットシーンは直結している。

 ホビーロボット関連では、「ツクモロボット王国」の九十九電機株式会社が民事再生法を申請する事態に陥っている。8月には「ツクモロボット運動会in秋葉原万世2008」を開催し、10月にはツクモロボット王国も売り場面積を拡大していた同社だが、資金繰りが悪化。今日の事態に至った。その後「ツクモロボット王国」はいったん休業していたが、現在は店舗営業も再開している。だが来年も「肉争奪戦」が行なわれるかどうかは不透明だ。


2008年のロボットビジネス・シーン

 経済産業省は「今年のロボット」大賞2008優秀賞を11月に発表。今年は8体のロボットが選ばれた。12月には表彰式を開催した。「今年のロボット」大賞を獲得したのは株式会社タカラトミー「Omnibot17μ i-SOBOT」となった。累計販売台数は世界全体で約5万台。

 本田技研工業株式会社(ホンダ)は昨年末から今年1月にかけてASIMOによる案内・デリバリーサービスの試験運用を青山にある本社にて実施。本誌記者も体験することができた。5月には米国ミシガン州デトロイトにてオーケストラをASIMOが指揮した。またロボット技術から派生した「装着型歩行アシスト」を実際に着用できる形で一般公開。試験を繰り返している。7月には埼玉県川越市にある医療法人 真正会 霞ヶ関南病院と共同試験を始めた。1年間の予定なのでまだ続いていると思われる。11月には「体重支持型歩行アシスト」装置の試作機を初公開、業務支援用としての検証を始めた。歩行ロボット研究を通じて練り上げられた二足歩行研究の成果が生かされ始めた。

 トヨタ自動車株式会社はゴールデンウィークでのイベントなどにロボットを使ったり、「i-REAL」の試乗会を行なったり、講演会を行なったりする一方、8月には新モビリティとして二輪型パーソナル移動支援ロボット「Winglet(ウィングレット)」を発表し、普通自動車免許所持者を対象に試乗体験も行なった。「i-REAL」はアメリカのハイテク見本市「WIRED NextFest 2008」でも披露された。


「今年のロボット」大賞を獲得した「Omnibot17μ i-SOBOT」 ホンダ「体重支持型歩行アシスト」 トヨタ「Winglet(ウィングレット)」

 またトヨタは理化学研究所と包括的な連携をした研究組織「理研BSI-トヨタ連携センター(BTCC)」を立ち上げて別方向からの研究アプローチも進めている。「脳科学と技術の統合によってイノベーションを作り出す」のが目的だという。なお理研は11月に「柔軟な運動制御を可能にする神経回路モデルの実験に成功」したと発表した。介護ロボットなどへの応用も視野に入れているという。

 掃除ロボット「Roomba」を展開するiRobotでは、共同設立者の1人で会長職を務めるヘレン・グレイナー氏が「ROBO_JAPAN」にて来日講演を行なった直後に離職するなど、動きがあった。日本でRoombaを販売しているセールス・オンデマンド株式会社は株式会社サンリオとコラボして「ハローキティモデル」を発売したり、ウォーリーモデルを発売するなど、プロモーション展開も行なった。

 大和ハウス工業株式会社は、ロボットスーツ「HAL」の開発を手がけるCYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社と共同で、今年、本格的にロボットビジネスへの参入を開始した。4月にはロボットスーツ「HAL」の量産工場を着工。7月1日には両者はロボット事業に関する総代理店契約を締結した。CYBERDYNEが生産・販売するロボットスーツ「HAL」を大和ハウスが一括して買い受ける独占的取引代理店となった。さらに大和ハウスは、7月4日にCYBERDYNEからの第三者割当増資による株式の割当てを引き受け、10億8万円を増資した。9月末にはサイバーダインの新社屋を完成させた。

 サイバーダインと大和ハウスは「HAL」の福祉向けバージョンのリース販売を10月10日から開始。10月末には大型ショッピングセンター「イーアスつくば」内に「CYBERDYNE STUDIO(サイバーダインスタジオ)」をオープンした。

 富士重工業株式会社(スバル)はツムラと共同で、活躍フィールドをより広げた新型の連結式搬送ロボットシステムを開発し、実用化したことを2日に発表した。2007年「今年のロボット」大賞において「優秀賞 - 産業用ロボット部門」を受賞した医薬品容器交換用「連結式搬送ロボット」の新型機を実用化したもの。

 松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)は大阪のホテル近鉄ユニバーサル・シティで、ポーターロボットと搬送支援ロボットの実証実験を実施した。また株式会社安川電機も福岡県ロボット産業振興会議の助成を受けて開発した「ポーターロボット」の実証実験を北九州空港で行なった。


「HAL福祉用」の単脚型(左)と両脚型(右) サイバーダインスタジオ リネン類搬送支援ロボット

 株式会社日立製作所は「EMIEW」や「EMIEW2」などに搭載されていた、「自律走行機能」「障害物回避機能」を搭載した次世代物流ロボットを開発、発表した。「国際物流総合展2008」に参考出展もされている。

 三菱重工業株式会社は「wakamaru」の異業種連携を拡大すると10月に発表。連携の実際の一部についてはイベント「ROBO_JAPAN 2008」にて公開された。

 日本電気株式会社(NEC)は1月に「PaPeRoアプリケーションチャレンジ in 東北」アイディア発表会を開催。11月の「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2008」では「PaPeRo」やロボット型FeliCa端末などを出展した。

 株式会社東芝は3月に人の音声を認識してリモコン操作をしてくれるロボット「アプリポコ」を開発。

 株式会社アサンテは2月にシロアリ防除ロボット「ミルボ3」の実証実験を大阪四天王寺で実施した。

 株式会社安川電機はサービスロボット「SmartPal V」を使った片付けデモを「ロボット産業マッチングフェア北九州」などで披露した。


NEC「PaPeRo」 東芝「アプリポコ」

 セグウェイの日本販売代理店になっている日本SGI株式会社は三井リース事業株式会社(現JA三井リース株式会社)と提携し、セグウェイのレンタル/リースを行なっている。セグウェイの実証実験を5月から茨城県・国営ひたち海浜公園で実施。この実証実験はその後さらに延長して10月からはセントラル警備保障株式会社と共同で国営ひたち海浜公園にてAED・消化器などを搭載したモデルの共同実証実験を開始した。セグウェイは現在、パシフィコ横浜にも警備パトロール用として導入されている。

 株式会社テムザックは3月に福岡県の商業施設「イオンモール福岡ルクル」にコミュニケーションロボットを納入している。また「T-53援竜」は5月に行なわれた福岡県総合防災訓練にも登場、生物化学テロ災害訓練に参加した。8月末の「第37回全国消防救助技術大会」にも登場するなど徐々に実際の現場の人たちとの交流を進めているようだ。また12月にはドイツにあるフラウンホーファー研究機構IAIS研究所が開発したロボット研究用プラットフォーム台車「VolksBot」の販売を開始すると発表した。

 株式会社ゼットエムピーは「Microsoft Robotics Studio」を開発環境として採用し情報系研究室をターゲットとした二足歩行ロボット教材「e-nuvo WALK ver.3」製品版を完成、披露した。「ZMPロボティクス スクール」を2008年10月から開講した。「e-nuvo BASIC」ほかを使った講習を行なっている。また「今年のロボット」大賞2008のサービスロボット部門において「e-nuvo」が優秀賞を受賞したことを記念し、プレゼントキャンペーンも行なった。12月には首都大学東京と共同で、miuroを利用した次世代音楽配信サービスカーロボティクス・プラットフォームを開発中と発表した。


福岡県総合防災訓練に参加したテムザックの「T-53援竜」 ロボット研究用プラットフォーム台車「VolksBot」 ZMP「e-nuvo WALK ver.3」

 なお株式会社テムザック、株式会社ビジネスデザイン研究所、株式会社ゼットエムピー、ヴイストン株式会社のロボットベンチャー4社は「次世代ロボット市場創造連盟」を設立し、6月18日に都内で記者発表会を開催した。4社は2010年代をロボットにとっての「第3ステージ」と位置付けており、連盟の発足によって家庭への普及を促進していく考えだ。韓国のロボット展などを共同で見学するなどの活動を行なっているようだ。

 同様の動きは他のベンチャー会社にもあった。10月にはKORKS、有限会社浅草ギ研、株式会社テクノロード、株式会社ピルクスの4社がロボットの新しい可能性に挑戦し市場活性化を目指していくことを目的に「関東ロボット連合」の結成を発表した。

 スピーシーズ株式会社は6月に「ロボット放送」のビジネス展開を開始すると発表した。台湾MSIと協業し小型ロボットも開発予定だとしたが、その後、特に動きはない。

 ビー・エル・オートテック株式会社は、水底清掃ロボットシリーズ「スーパーマルチ」と「アクアムーバー」を発売。12月にはフィグラ株式会社が自律移動型多目的清掃ロボット「フィグラ・アイ」を2009年4月に発売開始すると発表した。

 株式会社ダイセン電子工業とロボットフォースは8月に犬ロボット「DOG WAN」を共同開発して発表した。防犯・監視、案内、癒しなどの用途を想定しているという。

 東急建設株式会社は日立建機株式会社と共同開発した双腕の「次世代マニピュレータ」と識別機を使った廃棄物分離・選別システムを11月に発表した。これで脚がついたらマニピュレータ付きの作業用大型建機が活躍するアニメ「パトレイバー」の世界そのままだ。

 マーテック株式会社は4月に男性用便器清掃ロボット「ダスベエ」のデモを神戸空港ターミナルで公開した。なおNEXCO中日本(中日本高速道路株式会社)は新東名のトイレ清掃、トンネル点検などを自動化することを目的に「ロボット技術を応用した新技術提案」を募集している。締切は2009年1月末だ。


フィグラの「フィグラ・アイ」 ダイセン電子工業、ロボットフォースの「DOG WAN」 東急建設、日立建機らによる「次世代マニピュレータ」

 株式会社村田製作所は「CEATEC JAPAN 2008」で自転車型ロボット「ムラタセイサク君」のいとこという位置づけの一輪車ロボット「ムラタセイコちゃん」を発表し、再び多くの人の注目を集めた。ムラタセイコちゃんは出前事業を行なって、多くの子ども達にものづくりの楽しさを伝えている。

 恐竜型ロボット「PLEO」の国内販売を行なっている株式会社ビジネスデザイン研究所は、仏violet(ヴィオレ)製コミュニケーションツール「Nabaztag(ナバズタグ)」を2009年1月より発売すると発表。予定価格は31,500円。

 米Intelは8月に行なわれた開発者向け会議「IDF(Intel Developer Forum) 2008」でロボット研究の一端を公開した。10月にはシリコンバレーで「Singularity Summit(シンギュラリティー・サミット)」と題された会議も行なわれ、コンピューターやロボットの専門家などが議論した。11月には「ROBO DEVELOPMENT」が行なわれ、Microsoftはロボットアプリケーション開発ツールの最新版「Microsoft Robotics Developer Studio 2008」(MRDS)をリリースした。Microsoftのロボティクスグループ ゼネラルマネージャー タンディ・トローワー氏によれば、ロボティクスを子どもでも使える技術にすることを目指すという。


ムラタセイサク君(右)とムラタセイコちゃん(左) ビジネスデザイン研究所が販売予定の「Nabaztag」

進む車のロボット化

 トヨタ技監・渡邉浩之氏は「ロボットビジネス推進協議会」設立一周年総会終了後の特別講演で、クルマはロボット化すると述べた

 また9月に行なわれた「CEATEC JAPAN 2008」では「カーロボティクス」を掲げる日産自動車株式会社もロボット「BR23C」を発表。既に公開されていた「PIVO2」以外の研究成果を見せた。CEATECでは同社常務の篠原稔氏による「カーロボティクスと通信が拓くクルマの未来」と題された基調講演も行なわれた。さらにその背景にある考えについては本誌で行なったインタビューをお読み頂きたい。

 これらの技術は3月に公開実証実験が行なわれた総務省施策「ユビキタスITS(Intelligent Transport Systems)」の「ユビキタスITSの研究開発」「電子タグを用いたITS応用技術の研究開発」などとも相まって、クルマをさらに進化させていくだろう。同様の流れは「人とくるまのテクノロジー展2008」レポート同公開フォーラムレポート「Automotive Technology International 2008」レポートなどからも伺うことができる。卓抜した研究開発力と製品化力を持った自動車会社の本気がロボット業界に新風を吹き込み始めている。それだけに今後、不況の影響が気になるところだ。


日産「BR23C」 日産「PIVO2」

2008年の研究開発シーン

 「次世代ロボット連携群」はロボットが動作する環境を規格化する「環境情報構造化プラットフォーム」の大阪での実証実験を公開した。1月末にはロボットタウンでの実証実験も公開されている。また株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、三菱重工業株式会社、株式会社イーガー、株式会社東芝、NTTの5社はユニバーサル・シティウォーク大阪で複数のロボットが協調し道や店舗の案内サービスを提供するネットワークロボット実証実験が実施された。この実験は、総務省委託研究「ネットワーク・ヒューマン・インターフェイスの総合的な研究開発(ネットワークロボット技術)」の一環として行なわれた。また12月にはASIMOとRobovie-IIによる連携実証実験も実施された。

 ロボットを野外で動かす試みとしては自律型ロボットによる屋外環境走行を目指す技術チャレンジ「つくばチャレンジ」が今年も行なわれた。「つくばチャレンジ開催記念シンポジウム」のような技術報告も実施された。屋外でロボットを動かすための試みは各所で進められており、画像センシング専門のシンポジウムにもその一端を見ることができる。

 NEDO技術開発機構は「人間支援型ロボット実用化基盤技術開発プロジェクト」の成果を6月に横浜で発表。福祉関連ロボットを公開した。福祉分野のロボット技術活用例は5月の「ロボカップジャパン 2008沼津 福祉・介護ロボティクス展」レポート、名古屋で6月に開かれた「ウェルフェア2008」のレポート、7月に行なわれた「国際モダンホスピタルショウ2008」&「介護フェア2008」などでも見ることができる。


ユニバーサル・シティ・ウォークで行なわれた実証実験の様子 今年も開催された「つくばチャレンジ」

サルの大脳活動の信号でロボットを動かす実験につかわれた「CB-i」
 6月には独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)、国立大学法人東京大学、ゼネラルロボティクス株式会社が、ロボットソフトウェアプラットフォーム「OpenHRP3」をオープンソース・ライセンスでユーザーに配布開始するとアナウンスし、共同で記者会見を開いた。ソフトウェア再利用によって開発コスト低減を目指す。

 1月には、JST戦略的創造研究推進事業ICORP型研究「計算脳」プロジェクトによって、サルの大脳活動の信号でヒューマノイドを動かすという実験が公開された。海外ではMEMS2008において昆虫に電子回路を繋いで飛行を制御するといった技術の発表も行なわれた。このような脳と機械を繋ぐ「ブレインマシーンインターフェイス(BMI)」技術については講演やシンポジウムなども盛んに行なわれるようになりつつある。

 少子高齢化社会を救うロボット技術開発を目指す東京大学IRT研究機構は3月に「IRT研究機構発足記念シンポジウム」を開催。中間審査の行なわれる今年は10月にホームアシスタントロボット「AR」による掃除片付け技術を発表したのを皮切りに、12月には「高齢者支援用パーソナルモビリティ」「思い出し支援技術」「キッチンロボット」と、次々に開発したロボットを発表した。


東京大学IRT研究機構ホームアシスタントロボット「AR」 東京大学IRT研究機構「高齢者支援用パーソナルモビリティ」 東京大学IRT研究機構「思い出し支援技術」記者会見の様子

 IRT以外の東大のロボット研究については5月に行なわれた機械系研究室オープンハウスの記事、6月に行なわれた生産研/先端研公開レポート、7月末に行なわれた「東大オープンキャンパス2008」などを合わせて参照して頂きたい。

 非常に多くの一般公開イベントを積極的に展開する東京大学だが、他の大学も負けてはいない。東北大学工機械系はわざわざ東京秋葉原で研究公開を実施。研究内容を一般公開した。本誌では7月末に行なわれた東北大学オープンキャンパスもレポートしている。


デンマークで本格導入が始まる「パロ」
 産総研は10月にオープンラボを開催。本誌では知能システム研究部門の研究内容「次世代ロボット産業化基盤技術講演会」をレポートした。また産総研が開発したアザラシ型ロボット「パロ」がデンマークで本格導入されることも11月には発表された。

 「神戸RT構想」を推進している神戸市は「kobe Robot Meeting 2008」を開き、神戸RT構想及びNIRO神戸ロボット研究所の取り組みに関する報告などが行なわれた。NIROや神戸RT研究会の研究成果は10月に行なわれた「国際フロンティア産業メッセ2008」でも出展された。


踊るぬいぐるみ型ロボッ「キーポン」
 各種探査ロボットや軽量簡便なスマートスーツなどは「東京国際消防防災展2008」でも見ることができた。これらは総務省消防庁「消防防災ロボット・高度な資機材等の研究開発、実用事例」として表彰されている。

 「第26回日本ロボット学会学術講演会」では「2050年のロボット活用社会に向けて~経済産業省・人間工学会・人工知能学会・ロボット学会ジョイントパネル~」が開催され、「ロボット分野におけるアカデミック・ロードマップ」の内容が紹介された。これはロボット学会が経済産業省から委託を受けて、人間工学会、人工知能学会と連携して未来へのロードマップを描いたものだ。

 情報通信研究機構(NICT)を退職し、10月1日付けで宮城大学事業構想学部デザイン情報学科の教授に就任した小嶋秀樹氏は共同研究しているマーク・ミカロウスキー氏と一緒に米ペンシルベニア州ピッツバーグ市に「ビートボッツ(BeatBots)」という会社を設立。踊るぬいぐるみ型ロボット「キーポン(Keepon)」を商品化するという。


トイロボット

 株式会社タカラトミーや株式会社セガトイズなどからは「トイフォーラム2008」などでロボット系新商品の発表が行なわれた。そしてタカラトミーからは3月末に「i-SOBOT」のブラックバージョンが発売。タカラトミーは「i-SOBOT」のキット化案も発表している。今後の展開に期待したいところだ。

 セガトイズは3月に音楽ペットロボット「i」シリーズの新製品を発表。自律型女性ヒューマノイドロボット「E.M.A.」を9月に発売すると発表した。2万円以下の低価格、そして「キス」動作と「女性型」という外見が話題を呼んだ。また6月に音楽再生人型ロボット「アンプボット」を11月に日米同時発売すると発表したのだが、その後、発売日を延期した。現時点で発売日未定と発表されたままになっている。

 一方、同社が展開する「夢ペットシリーズ」は好評のようで、今年も8月に「夢ハムスター」を発表した。10月には言葉にあわせて動くミッキーマウスのロボットトイも発売している。

 ディズニーもトイロボット市場に参入することを5月に発表した。現在は「WALL・E」のロボットを発売中だ。また世界各国の大学と共同で、ロボットやコンピューター・アニメーションなど最先端技術の研究開発に取り組む計画を発表した。最初の提携先として選んだ米カーネギー・メロン大学とのプロジェクトには日本人研究者も参加するという。


i-SOBOTブラックバージョン セガトイズ 自律型女性ヒューマノイドロボット「E.M.A.」 セガトイズと米国・ハスブロによる「アンプボット」

ホビーロボット、教育用ロボットなど

 二足歩行ロボットキット「KHR」シリーズを販売している近藤科学株式会社は今年は11月に「KHR-2HV RCB-3アップデート済みセット」を発売したり、モータードライバ付マイコンボード「KCB-2」などを販売した。二足歩行ロボットによるサッカー競技「KONDO CUP」も定期的に開催。6月には「KHR 4th Anniversary」も開催された。公開競技として「自律バトル」と「自律ビーチフラッグ」の2種類も開催された点が新しい。ビーチフラッグ競技会は11月には千葉工業大学にて単独でも開催された。


近藤科学のモータードライバ付マイコンボード「KCB-2」 KHR 4th Anniversaryの出場者たち 千葉工業大学では自律ビーチフラッグ競技会が単独で開催された

 2月にはヴイストン株式会社が二足歩行ロボットキット「Robobie-X」の出荷を開始した。同社は軸数を減らした廉価版「Robovie-X Lite」のほか、PSDセンサーや外装セットロボット専用無線コントローラハイパワー化キット、RobovieMakerをベースとしたC言語学習用ソフトウェア開発ライブラリ「VS-RC003SDK」も発売している。年末には最上位モデル「Robovie-X PRO」の受注を開始。年明けから発売予定だ。

 またヴイストンは5月に日本遠隔制御株式会社と共同開発した身長130cmのプラットフォームロボット「Vstone Tichno」を発表。ロボカップ2008ジャパンオープンのヒューマノイドリーグ・TeenSizeに出場し優勝した「Vstone Tichno R」をベースに開発されたロボットで、搭載されたトルク327kg・cmのサーボ「VS-SV3300」は市販もされている。7月にはヴイストンが中心となっている産学連携ロボット共同開発コンソーシアム「TeamOSAKA」はロボカップ世界大会向けの二足歩行ロボット「VisiON Vgos(ヴィジオン ヴィーゴス)」を発表した。


ヴイストン「Robovie-X PRO」 ヴイストン「Vstone Tichno」 ヴイストン「VisiON Vgos」

 京商株式会社は4月にオフィシャルショップ「KYOSHO AKIHABARA」をオープン。同社が展開する二足歩行ロボット「マノイ」シリーズのサポート受付も行なっている。MANOIを使った「KYOSHOアスレチクスヒューマノイドカップ」の新競技も公開。ユーザーイベントを行なっている。MANOIはBOSSの景品にもなった。7月にはMANOIのガイドブックとDVDを発売した。10月の「ROBO_JAPAN 2008」ではMANOI PF01フルカーボン仕様を公開した。

 日本遠隔制御株式会社(JR PROPO)は7月に二足歩行ロボットキット「RB2000 19軸セット」の販売を開始した。

 株式会社ハイテックマルチプレックスジャパンは、同社の二足歩行ロボット「ROBONOVA-I」の国内販売数が30,000体(OEM販売含む)を超えたと発表し、同キットを一時期間限定特別価格で販売した。「ROBONOVA-I」は11月からは値下げされて提供されている。

 株式会社ピルクスは二足歩行ロボット入門キット「Pirkus・R Type-02 II」を4月に発表。11月にはBluetooth搭載のロボット用マイコンボード「RE00V」を発表した。12月には「RE00V」対応PSD距離センサー、ロボット用の小型サーボモーター「PRS-CD007P」を発売した。

 オンラインホビーロボットショップ「Robotma.com(ろぼとまどっとこむ)」は、実店舗でのサポートスペース「ふれあいの場」をオープン。工作教室や自作ロボットユーザー支援サービスの一環としてアルミ切削サービス、ネット中継などを行なっている。

 株式会社アールティはハーフサイズマイクロマウス競技に対応するロボット「Pi:Co」を6月に発売した。またアールティ主催「バトルカップ」なども行なった。


国内販売数が30,000台を超えた「ROBONOVA-I」 ピルクス「Pirkus・R Type-02 II」 アールティ「Pi:Co」

 株式会社ハイテックマルチプレックスジャパン、双葉電子工業株式会社、株式会社イクシスリサーチの3社は5月に統合型ロボット用ソフト「SimROBOT 0」を発表した。

 共立電子産業株式会社は、ロボットキット「プチロボ」シリーズ用モーション作成ソフト「WondeRoid MotionMaker Ver.1.00」の配布を同社Webサイトにて開始した。同社キットに付属するコントローラボード「WR-ESIX」専用ソフトウェアだ。また同社のロボットキット「プチロボシリーズ」で利用可能なボードタイプUSBカメラ「WR-UC32」を11月に発売した。

 株式会社エイチ・ピー・アイ・ジャパンは、当初予定の7月発売からはずれ込んだが、犬型ロボットキット「G-Dog」を11月に発売した。また廉価版が発表された二足歩行ロボットキット「G-ROBOTS」用の各種パーツも発表されている。

 クラフトハウスは11月に二足歩行ロボット用フレームキット「メリッサ」を発売した。近藤科学株式会社のサーボモーター「KRS-4000シリーズ」に対応したフレームキットで、足を短くして重心を下げた。九州ロボット練習会のメンバーが考え出したものをイトーレイネツ株式会社の吉村氏らの協力の下、発売までこぎつけた。同社はHotproceed開発のロボット用無線コントローラアダプタ「REV-1(レボ-ワン)」も11月から販売している。

 株式会社エスケイパンと姫路ソフトワークスは近藤科学のコントロールボード「Motion Processor 2HV」専用歩行モーションジェネレータを開発した。詳細は石井英男氏によるレビューをご覧頂きたい。


エイチ・ピー・アイ・ジャパ「G-Dog」 クラフトハウスの二足歩行ロボット用フレームキット「メリッサ」

 株式会社アフレルは、レゴマインドストームNXTベースの家庭学習用セット「デスクロボ」シリーズの発売1周年と、レゴマインドストーム誕生10周年を記念し、期間限定でデスクロボシリーズの特別価格販売を実施している。実施期間は2008年12月1日~2009年1月12日まで。なおRCXシリーズは販売終了となり、NXTへ一本化されることになった。

 今年も二足歩行ホビーロボット競技は各地に盛んに行なわれた。福岡ロボスクエア、大阪和歌山長井姫路香川草加、そして東京のわんだほーろぼっとか~にばるなどなどだ。レーザー光線銃バトルシステム「Blaser」の大会なども福岡東京秋葉原で行なわれた。なお今年から福岡・ロボスクエアの販売コーナーは「ロボプロショップ」という名前でヴイストン株式会社が運営している。

 ホビー・教育系の二足歩行ロボット業界で一番印象的だったことは、今年は「大型化」が本格的に始まったことだろうか。1月にははじめ研究所から1mの研究・競技用ロボットが発売された。またROBO-ONEは「お手伝いロボットプロジェクト」の予選を8月17日決勝を9月6日に実施。ここでもやはり大型ロボットが登場した。本戦では「第13回ROBO-ONE IN 後楽園ホール」「第14回ROBO-ONE」と今年も行なわれた。

 「ROBO_JAPAN」内で行なわれた第14回ROBO-ONEには「OmniZero.7(オムニゼロ・ポイント・セブン)」と「ALCNON?(アルクノン?)」という2台の1m級ロボットが登場。予選は途中でルール変更が起こるなど、混乱も起きた。最終的に決勝戦で勝ち残り、「OmniZero.7」で総合優勝した前田武志氏はヴイストンのロボプロステーションで講演して試行錯誤の過程を紹介した。


「お手伝いロボットプロジェクト」に出場した「ファイブ」 「OmniZero.7」(左)と「ALCNON?」

 なおROBO-ONE系のロボットもセンサーの利用が本格的になっている。その実態はテクニカルカンファレンスレポートなどを参考に把握して頂きたい。また放り投げれた状態で機体の姿勢を制御することも限定的ながら可能になりつつある。通称「投げロボ」チャレンジはまだ続いている。この取材にはハイスピード撮影の可能なカシオ「EX-F1」が役に立った。

 ROBO-ONEが初心者には敷居の高い大会になってきたことに対し、大阪で「ロボファイト」を主催する「ロボットフォース」は初心者から参加可能な大会作りを目指す「JSRC」構想を発表した。

 もちろん「ロボット相撲」「マイクロマウス大会」「知能ロボコン」「かわさきロボット競技大会」「全日本学生室内飛行ロボットコンテスト」、そしてロボカップなども盛んだった。今年は小中高校生を対象として催される自律型ロボットの国際ロボット競技会「WRO2008 YOKOHAMA,JAPAN」が行なわれたことにも触れておきたい。

 組込み展そのほかでのロボット展示や組込み教育へのロボット応用も盛んで、6月には組込みとロボットをテーマにした体験・展示の複合イベント「ET×ロボット2008」、11月には「ETロボコン2008チャンピオンシップ大会」が行なわれた。また、ユニークな形の建物で知られる新宿駅西口に開校したIT・デジタルコンテンツの専門学校「HAL東京」にはロボティクス学科も設置されている。


活躍するロボットクリエイター高橋智隆氏

 ロボガレージの高橋智隆氏の活躍も目立った。1月には松下電器産業株式会社の乾電池「EVOLTA(エボルタ)」のキャラクタを発表。グランドキャニオン登頂にチャレンジした様子はテレビCMにも使われている。7月には滋賀県大津市の石山寺にて紫式部をイメージし、和をテーマにしたロボット「MURASAKI」を発表した。ヒューマンエヌディー株式会社が2009年1月に開講予定の「ヒューマンキッズサイエンス ロボット教室」のアドバイザーにも就任している。

 10月にはタレントのエド・はるみさん、キャスターの小倉智昭氏と並んで「リプトンひらめきIST AWARD2008」を受賞。11月からはユニクロのCMにも出演している。こちらではロボットを手に持っていない。製作者個人だけで一種の商品価値を持つに至っているのだ。


「EVOLTA」発表会での高橋智隆氏 「MURASAKI」

ロボットイベント、ロボット文化

55,696人の来場者があった「ROBO_JAPAN」
 10月11日(土)~13日(月)の3連休にはパシフィコ横浜でパートナーロボットのイベント「ROBO_JAPAN」が開催された。会期中にはロボット展示のほかiRobotの会長であるヘレン・グレイナー氏株式会社タカラトミーの渡辺氏らの講演や、ロボット実用化の課題を議論するパネルディスカッションなども行なわれた。3日間の会期中の総来場者数は55,696人。大手スポンサーこそつかなかったものの、来場者数だけから判断すれば、十分、成功イベントだったと言えるだろう。

 11月26日(水)~28日(金)の3日間には、インテックス大阪で「国際次世代ロボットフェア ICRT JAPAN 2008」が開催された。こちらも当初、出展社集めには苦労していたようだが、株式会社安川電機の「SmartPal V」による片づけデモ、東洋理機工業株式会社が安川電機の双腕ロボット「MOTOMAN-SDA10」を使ったお好み焼きを焼くデモンストレーションなどを行なった。会期中の総来場登録者数は10,910人だった。

 大阪市立科学館は80年前に作られた「学天則」を動態復元。4月に報道公開し、7月からは一般公開されている


お好み焼きを焼く「MOTOMAN-SDA10」 大阪市立科学館が動態復元した「学天則」

 6月には東京大学駒場キャンパスにて、「機動戦士ガンダム」などで知られるアニメーション監督・原作者の富野由悠季氏と東京大学工学部教授のディスカッション企画「テクノドリームI:工学~それは夢を実現する体系」が行なわれた。7月に六本木ヒルズで行なわれた社団法人日本鉄鋼連盟主催の近代製鉄発祥150周年記念事業「鉄の星フェスティバル」にはSFロボットアニメ「装甲騎兵ボトムズ」に登場するアーマード・トルーパー(AT)の1/1サイズ「スコープドッグブルーティッシュカスタム」が登場した。またロボット系ゲームは「東京ゲームショウ2008」で見る限り今年も多数あった模様。


東北大学オープンキャンパスで行なわれた瀬名秀明氏×櫻井圭記氏による公開対談
 SF業界とロボット系の接点としては、今年もトークショーがいくつか行なわれ、本誌でもレポートした。河森正治氏×古田貴之氏×水内郁夫氏によるトークショー瀬名秀明氏×櫻井圭記氏の公開対談@東北大学オープンキャンパスなどだ。瀬名秀明氏×櫻井圭記氏のお2人にはインタビューも行なった。

 アートにロボットを使う例もあった。5月末~6月に行なわれた「anima machines」展はその一例だ。また大阪大学では三菱重工業株式会社の「wakamaru」を使い、ロボットと俳優が競演し、人とロボット、ロボットとロボットのコミュニケーションをテーマにした演劇「働く私」が上演された。「エンターテインメント型実証実験」で近未来を疑似体験するためのものだという。


 映画のプロモーションでのロボット活用例も今年は多かった。「スターシップ・トゥルーパーズ3」記者会見では東京理科大のマッスルスーツが登場。マッスルスーツそのものについては東京理科大学の小林宏教授の講演レポートをご覧頂きたい。映画「アイアンマン」ジャパンプレミアには、サイバーダインの「HAL」と山海教授が登場した

 「WALL・E/ウォーリー」のスタッフ来日記者会見には実物大のウォーリー・ロボットも登場。特別試写会には大学生によるロボットデモが行なわれ、福岡ロボスクエアでもタイアップイベントが行なわれた。セールス・オンデマンドは「WALL・E」デザインのルンバを限定販売した。

 12月には株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー主催「バカロボ2008」が開催された。東大情報学環の暦本純一教授らによるアイドルロボ「YKRN」が優勝した。

 株式会社毎日コミュニケーションズは6月にロボット情報専門誌「PLUS ROBOT」を刊行した。当初は年末に第2号を刊行する予定だったが、残念ながら1号だけで休刊になってしまった。

 7月、白泉社から1995年~2001年に少女漫画雑誌「LaLa DX」などに連載された「まるいち的風景」の文庫版が発売された。全2巻で、価格は各800円。作者は柳原望氏。本誌ではインタビューも行なった。「まるいち」はその後、京商と白泉社のコラボでMANOIを改造してキャラクターロボット「MANOI・まるいち」として「第47回日本SF大会」で初披露された

 一方、テレビではテレビ東京系で「ロボつく」という番組が金曜日の夕方にオンエアされている。fuRoの先川原正浩氏が番組に協力し、「ロボドル」こと一之瀬まゆさんがレギュラー出演している。


まとめ

 さて、今年一年を振り返ってみた。いまこうして全体を見直してみて改めて思うのは、世の中からロボットへ向けられている期待は相変わらず高い、ということである。ロボット技術を応用し、役に立ち、かつ生活の質を上げる機器の登場を、誰もが期待している。ただロボット実用化のためには、もっと「極めて具体的な、運用現場発の発想」と、「基礎研究を突き詰めてポイントを突くこと」、この2点が必要なのではないか、というのが筆者個人の気持ちである。国はイノベーション、イノベーションと言い続けているが、革新的なロボット技術の実用化までには、まだ少し時間がかかりそうだ。


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